「ベルリンの壁」を辿るサイクリングのスタート地点
総延長150キロの「ベルリンの壁」を巡る上で、スタート地点にしたのは「テレビ朝日さくら平和通り」でした。その理由は、郊外にある壁跡地で訪れたことがあった場所だからです。そこには何度も訪れたことがありました。ベルリン南西部に位置しており、中心部から電車で約40分ほどのところ。
かつて「ベルリンの壁」があった場所は、今ではベルリンとそれに接する町テレトウとの境界となっています。そして今では壁は撤去され、壁に代わって桜が植えられているのです。

ベルリンに植えられた日本の桜と「テレビ朝日さくら平和通り」
そもそもドイツであるにも関わらず、日本のテレビ局の名前が通りに付けられていることを不思議に思う人もいるでしょう。実は「ベルリンの壁」跡地の一部では日本からの寄付で桜が植樹されているのです。そして、そのキャンペーンを行ったのが、通りの名前にもあるテレビ朝日だったのです。
こちらには桜並木があり、毎年春に「花見」と呼ばれるお祭りが開かれています。そのため桜を見るために訪れたことがありました。また実際に訪れたことがあるだけでなく、数少ない日本との繋がりがある場所でもあることも、スタート地点に相応しいように思えたのです。

桜が生み出すピンク色の帯
「テレビ朝日さくら平和通り」はSバーンと呼ばれるベルリン市内を結ぶ鉄道の駅からすぐ近くの場所にあります。この時は6月末だったため桜の花は散っており、桜並木は青々とした葉に覆われていました。しかし、桜の花が咲く4月末から5月上旬には壁の跡をなぞるように、桜並木がピンク色の帯を生み出します。
それは桜の美しさからだけでなく「ベルリンの壁」の歴史的な経緯から心を打つものがあります。人々の往来を遮断した灰色の壁があった場所にピンク色の帯が生まれて、多くの人々が集まります。そして、人々はその帯を東と西に自由に通り抜けていくのです。

圧倒的なブランデンブルク州の風景
「テレビ朝日さくら平和通り」をスタート地点にしたのは正解でした。「壁の道」から眺める風景はとにかく圧倒的だったのです。ベルリンと隣接するのはブランデンブルク州です(先ほど出てきたテレトウの町もブランデンブルク州に属しています)。
その風景はベルリンの風景とは全く違っていました。ベルリンは小さいながらもドイツの首都で、そこにはみっちりと建物が立ち並んでいます。それはベルリンの郊外であっても、建物の高さ以外に変わることはありません。しかし、ブランデンブルク州の郊外では視界を遮るものは何もなく、視界の果てまで耕地や平原が広がっているのです。

壁なき今も「東側」と「西側」を区切る風景
ベルリンとブランデンブルク州の風景のコントラストはサイクリングをより魅力的なものにしてくれました。「壁の道」を外れて、耕地の広がるブランデンブルク州に進んでいくと、楽しめるのは圧倒的な解放感。それと同時に、そこからのベルリンの風景も満喫できます。
耕地や平原の向こうに突如として高層ビルが建つ街が広がっており、それはかなりシュールな風景と言えるでしょう。それは同時に壁が無くなった今でも「東側」と「西側」を容易に識別可能にしてくれるのです。耕地の茶色、かつてベルリンの壁があり現在は森の緑色、そして建物群の白と灰色。茶色は「東側」、そして緑、白、灰色は「西側」となっているのです。

- 総延長およそ150キロ!「ベルリンの壁」を自転車で辿ってみた(1)
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- 菜の花が生み出す黄金色のフィールド(3)
- 壁跡地を辿りながら学ぶ「ベルリンの壁」(4)
- 高層ビルと耕地が生み出す奇妙な風景 (5)
- 壁のあった時代から残されたもの(6)
- 壁跡地に生まれた高速道路と自然公園(7)
- 「ベルリンの壁」の最後の犠牲者(8)
- モニュメントが伝える悲劇(9)
- 壁が無くなっても戻らなかったもの(10)
- 過去を圧倒する現在のベルリン(11)
- ベルリンの現在を感じられる場所(12)
- 権力や境界に束縛されない自由の精神(13)
- 「ベルリンの壁」の今と昔(14)
- 過去だけでなく未来も考えさせる作品(15)
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