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2024年12月発生のマグデブルクのクリスマスマーケットのテロ事件について

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2024年12月20日ドイツ東部の都市マグデブルクのクリスマスマーケットでテロが疑われる事件が発生しました。こちらの記事では、事件に関する簡単な説明を行います。

事件の概要

時刻:2024年12月20日19時頃

場所:マグデブルクのクリスマスマーケット(Alter Markt 8, 39104 Magdeburg)

死者:6名(うち1名は子供)

重傷者:41名

負傷者:200名以上

容疑者:既に確保(サウジアラビア出身の50歳の医師で、2006年よりドイツ在住と多数のメディアで報道あり。サウジアラビアでは反イスラム教で、それが理由でサウジアラビアを去り、ドイツではAfD(右翼政党)の支持者とされる。ドイツでは難民のサポートや反イストラムのアクティスビストとして活動。)

状況:乗用車1台がクリスマスマーケットに猛スピードで突っ込み、400メートルほど走り抜ける。

Frankfruter Allgemeineの速報ページ

[2024年12月21日11時現在の情報(ドイツ時刻)]

マグデブルクについて

マグデブルクはドイツ東部にあるザクセン・アンハルト州の州都です。人口は20万人ほどで大規模な街となっています。かつては工業都市として栄えていた街ですが、第二次世界大戦によって破壊されています。

街は典型的な東ドイツの工業都市として復興しており、観光都市として知られているわけではありません。そのため日本人が敢えてマグデブルクを観光で訪れることは少ないと思います。

マグデブルク中心部の広場

事件の発生時刻でわかる計画性

クリスマスマーケットへ車が突入するという事件でしたが、時間帯がクリスマス前の金曜日の夜と、一番マーケットが混む時間帯でした。そのため敢えて、この時間を選んだ可能性が高いです。つまり大量殺人を目論んだ事件と考えられます。

時間帯としては仕事帰り、学校帰りの人が集まりやすいので、クリスマスマーケットで過ごす家族連れも多かったでしょう。子供の犠牲者も家族連れでの訪問の可能性が高いです。

再発したクリスマーケットでのテロ

同様の事件ですが、2016年12月19日にベルリンのカイザー・ヴィルヘルム記念教会のクリスマスマーケットで発生しています。この時はトラックが多くの人で賑わうマーケットに突っ込み、死者11名、負傷者は56名と大惨事となりました。

この時の犯人は現場から逃走しましたが、最終的に12月23日イタリアのミラノで射殺されています。なお、この事件より多くのクリスマスマーケットで警備が強化されるようになりました。

カイザー・ヴィルヘルム記念教会のクリスマスマーケット

クリスマスマーケットでのテロ対策

ドイツでは2016年のテロ以降、多くのクリスマスマーケットや、大規模なイベントではテロ対策が取られています。

例えば、大規模なクリスマスマーケットでは車の出入りが可能な場所に車止めのを設置しているところが多いです。車止めはコンクリートブロックになっており、それを破壊してマーケット内に侵入することは厳しいでしょう。

また大規模な場所では警察を配備させているところもあります。今回のクリスマスマーケットでは、それなりの規模であるため、どのようなテロ対策が行われていたかが問題となるでしょう。

ベルリンのクリスマスマーケットに設置されている車止め

今回の事件の問題 ①

現場で確保されている容疑者が、2006年からドイツに在住していたことが大きな問題となるでしょう。なぜなら前回ベルリンでテロを起こした犯人は、2015年の多くの難民がドイツに流入した混乱した時期にドイツに入国しています。そのため難民などの入国を厳しくする対応が取られています。

しかしそれ以前にドイツに住み、医者という高等教育を受けたとされる人物が容疑者となっているため、移民への風当たりが強くなるでしょう。特に特定の地域や宗教の移民への反発がドイツで起こる可能性があります。

今回の事件の問題 ②

ドイツでは2024年11月末の時点で、大規模なクリスマスマーケットでテロの発生について警鐘が鳴らされていました(2024年11月28日Deutsche Welleの記事)。また同様の事件が2016年に発生しています。

また2023年11月サウジアラビア当局から容疑者についての報告があり、容疑者が何らかの問題をもっていることを把握していたと報道されています。

つまりテロの発生は想定できる状態であり、防衛策を考えることができたはずです。また今回の容疑者が何らかのアクションを起こす可能性も把握していた可能性が高いです。その上で今回の事件を防ぐことができたかが問題となってくるでしょう。

今回の事件の政治への影響

ドイツ連邦議会では12月16日に首相の信任投票がありましたが、反対多数で否決されています。これによりドイツでは2025年2月に総選挙が行われると報道があります。ただし今回のようなテロが総選挙に大きな影響を与えることになるでしょう。(ドイツの総選挙についてのBBCの記事

総選挙での右翼の躍進が考えられます。今回事件が起きたマグデブルクは旧東ドイツですが、既に右翼であるAfDの躍進が続いています。総選挙が近く行われる場合には、マグデブルクや、それ以外の都市での右翼の大躍進、場合によっては国政を握る可能性も出てくるでしょう。

(2024年のマグデブルクの選挙ではAfDが13議席と議会で最大議席を確保。得票数では第二位となっています。マグデブルク市のHPより)

ドイツで最近発生した無差別襲撃事件やテロと関連するとされる事件

2024年から2025年にかけて、不特定の人物を狙った事件やテロが疑われる事件が連続しています。下記に2024年以降に起きた無差別の襲撃事件やテロが疑われる事件をまとめました。

発生都市発生日時事件の概要死者数記事
ハンブルク2025年5月23日(金)18:05頃ハンブルク中央駅のプラットフォームで、女が列車を待つ複数の乗客をナイフで襲撃負傷者のみドイツ便り記事
マンハイム2025年3月3日(月)12:15頃市内中心部で開催されていたイベント会場の来場者に向かって車が飛び込む事件死者2名ドイツ便り記事
ベルリン2025年2月21日(金)18時頃市内中心部のホロコーストの慰霊施設で、訪れた観光客が刃物を持った男に襲撃され、負傷者が1名出た。負傷者のみドイツ便り記事
ミュンヘン2025年2月13日(木)10:30ミュンヘン市内の大通りでデモを行っていた群衆に車が飛び込む事件が発生。2名の死者と複数の負傷者が出る死者2名ドイツ便り記事
アシャッフェンブルク2025年1月22日(水)11:45頃市内の公園で遊んでいた子供を襲い、子供と止めに入った男性が刺し殺され、他にも負傷者が出た。死者2名ドイツ便り記事
マグデブルク2024年12月20日(金)19時頃多くの人で賑わう大規模なクリスマスマーケットに、猛スピードで車が突っ込み、6名の死者と約300名の負傷者が出た。死者6名ドイツ便り記事
ミュンヘン2024年9月5日(木)9時頃ミュンヘン市内中心部で、ライフルで武装した男が警官を襲撃して、現場で射殺された。死者1(実行犯)名
ゾーリンゲン2024年8月23日(金)21時半頃ゾーリンゲン市内で開催されていたイベントを刃物を持った男が襲撃。3名が刺殺され、複数の負傷者が出た。死者3名
マンハイム2024年5月31日(金)11時半頃反イスラムの政治集会を男が襲撃し、止めに入った警察官が刺殺された。死者1名
2026年1月確認

今回の事件のドイツ観光への影響

クリスマスマーケットへの警備はさらに厳しくなることが想定されます。場所によっては入場の際にセキュリティーチェックが行われることもあるかもしれません。

2024年のクリスマスマーケットの多くが12月23日終了します。そのため暫定的な措置しか取ることができないと考えられます。しかし2025年には警備の強化や、そのためマーケットの有料化も考えられます。

クリスマスマーケット以外でも対応が迫られ、既に警備が厳しくなっているオクトーバーフェストで警備の再強化や、大規模な年越イベントの内容の見直しも行われることが考えられます。

いずれにせよドイツでのテロが2度と起きないことを願っています。

ドイツの治安については、こちらの記事で紹介しています。

2025年1月22日アシャフェンブルクで発生した事件については、こちらの記事で説明しています。


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