アントン・ウルリッヒ公爵美術館
Home » 博物館/美術館 » 貴重なフェルメール作品を展示する「アントン・ウルリッヒ公美術館」

貴重なフェルメール作品を展示する「アントン・ウルリッヒ公美術館」

更新

/ by

/ カテゴリー:

ドイツには、寡作で知られるヨハネス・フェルメールの作品を所蔵・展示する美術館がいくつかあります。ベルリンの絵画館、ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館、フランクフルトのシュテーデル美術館、そして今回紹介するブラウンシュヴァイクのアントン・ウルリッヒ公美術館です。

アントン・ウルリッヒ公美術館は、他の主要都市の美術館に比べると、世界的な知名度はそれほど高くありません。そのため小規模な地方の美術館と思う人もいるでしょう。しかし、ここにはフェルメール以外にも非常に重要な美術品が多数コレクションされています。また絵画のみならず、多数の磁器や工芸品、そして彫刻作品なども展示されており、ドイツでも屈指の素晴らしい美術館なのです。

こちらの記事では、そんなアントン・ウルリッヒ公美術館の魅力について紹介します。

ハノーファー近郊の都市ブラウンシュヴァイクにある美術館

ブラウンシュヴァイクという街の名前を初めて聞く人は少なくないかもしれません。ドイツ中部のニーダーザクセン州に位置し、州都ハノーファーに次ぐ約25万人の人口を抱える都市です。

近隣にある街にはフォルクスワーゲンの本社があるヴォルフスブルクや、世界遺産を擁するヒルデスハイム、そしてハノーファーがあり、これらと組み合わせて訪れることができます。ベルリンからでもドイツの高速列車ICEで1時間半〜2時間ほどでアクセスでき、意外にも訪れやすい街なのです。

ドイツ国内で最古の美術館の一つ

アントン・ウルリッヒ公美術館は、ドイツではとても重要な美術館なのです。なぜなら、その原型となる施設が設立されたのは1754年のことで、これはドイツ国内で最古の美術館の一つといわれています。

コレクションの礎を築いたのは、美術館の名前にもなっている17世紀に活躍したアントン・ウルリッヒ公です。彼はこの地を治めており、文化や学問を熱心に保護や支援をした人物として知られています。250年以上の歴史を誇る美術館には、中世から18世紀頃までの絵画を中心に、彫刻や工芸など多岐にわたるジャンルの作品が並びます。その圧倒的な質と量に訪れる人はきっと驚かされるはずです。

美術史に名前を刻む画家たちの作品

美術館の展示は非常に充実しており、美術史に名を刻む巨匠たちの作品が並びます。イタリア絵画では、フェルメール同様に寡作な画家として知られるジョルジョーネの「自画像」が必見です。ドイツ人画家の作品も豊富で、宗教改革者マルティン・ルターの肖像画で有名なルーカス・クラーナハ(父)の作品は見逃せません。

また、独創的なアナモルフォーズ(歪像)の手法を用いて絵画の中に頭蓋骨を描き込んだことでも知られる、ハンス・ホルバインの作品も収蔵されています。フェルメールだけにとどまらない、重要な名作が多数あるのです。

フェルメールの作品「女と二人の紳士」

美術館の目玉といえば、やはりフェルメールの「女と二人の紳士」です。フェルメールの現存作品はわずか30数点といわれており、寡作で知られています。現在、ドイツ国内には全部で6作品(ベルリン2点、ドレスデン2点、フランクフルト1点、ブラウンシュヴァイク1点)が所蔵されており、そのうちの貴重な1点なのです。

この作品は、43歳という短い生涯を送ったフェルメールが20代後半の頃に描いたものです。小ぶりなキャンバスには窓際に集う人々の姿が描かれた、典型的なフェルメールの室内画となっています。微笑む女性に顔を近づける男性が描かれており、当時の絵画に特有の意味を含んだ「寓意画」としての側面も持っています。

代表作ではありませんが、随所にフェルメール特有の光の表現や構図の巧みさを感じられ、フェルメールのファンには必見の作品です。

レンブラント晩年期の傑作「家族の肖像」

アントン・ウルリッヒ公美術館には、フェルメールと並んで非常に重要な作品がもう一点あります。それが、美術館の中心に飾られているレンブラントの「家族の肖像」です。この作品には、父と母、そして3人の幼い子供が静謐な雰囲気の中で描かれています。

レンブラントの作品は数多く残されていますが、この絵は特別な意味を持ちます。なぜなら、レンブラントは愛する家族を次々と亡くしており、不遇のうちに没したと言われているからです。この絵が描かれたのは1668年頃(レンブラントが没した前年)で、彼の思いが強く投影されていると考えられています。実際にこの絵の前に立つと、強く感情に訴えかける何かを感じられるでしょう。

ドイツでぜひ訪れたい「アントン・ウルリッヒ公美術館」

アントン・ウルリッヒ公美術館は、貴重なフェルメール作品を鑑賞できるだけでなく、美術史において重要な名作を楽しめる素晴らしい場所です。たとえフェルメールだけを目当てに訪れたとしても、コレクションの質の高さにきっと圧倒されるでしょう。ドイツでも屈指の美術館の一つですので、ぜひブラウンシュヴァイクに訪れてみてください。

アントン・ウルリッヒ公美術館 / Herzog Anton Ulrich-Museum

アドレス:Museumstraße 1, 38100 Braunschweig

入場料:9ユーロ

開館時間:11〜18時

休館日:月曜日

公式ページ:アントン・ウルリッヒ公美術館


ページ内検索


カテゴリー


タグ

PR お勧めの展示 お役立ち情報 ケルン シュトゥットガルト デッサウ デュッセルドルフ ドイツサッカー ニュルンベルク ハノーファー バンベルク フランクフルト ベルリンの壁を自転車で辿る ベルリン観光 ライプツィヒ ヴァイマール ヴュルツブルク 現代アート 蚤の市


最新の投稿

ルフトハンザ航空で大規模なストライキ(2026年3…

ドイツの空港

ドイツはストライキが頻繁に行われる国として知られています。公共サービスなどでストライキが行われるのですが、特に影響が大きいのは交通部門のストライキです。 2026年2月にはルフトハンザ航空の組合による…

ハンブルクの穴場観光スポット:レトロな空間を楽しめ…

ハンブルクの穴場観光スポット:レトロな空間を楽しめ…

ハンブルクの隠れた名所「旧エルベ・トンネル」を紹介します。1911年開通の歴史的建造物であり、地下24メートルを歩いて川を渡れるユニークなスポットです。アンティークな照明や壁画、巨大エレベーターなど見…

ドイツ全土の地方公共交通機関でストライキを予定(2…

ベルリンの地下鉄

ドイツでは不況の影響や労働条件の改善のためにストライキが頻繁に行われています。公共交通機関も例外ではなく、頻繁に鉄道などが運休になるのです。 2026年2月2日にドイツ全土の都市で地方公共交通機関のス…

世界遺産に指定されている工場。モダニズム建築の原点…

ファグス工場

ドイツに点在する世界遺産の多くは、壮麗な大聖堂や中世の面影を残す旧市街など、数百年もの歴史を持つものです。ですが、その中には20世紀のものも含まれているのです。それらは短い歴史の中でも、歴史的に文化的…

ルフトハンザ航空で24時間ストライキ!ドイツ全土で…

ドイツの空港

ドイツはストライキが頻繁に決行される国として知られています。公共サービスなどでストライキが行われるのですが、特に影響が大きいのは交通部門のストライキです。 2026年2月にはドイツ全土の地方交通機関で…