Home » 展覧会 » ドイツの現代アートを代表する国際展、ミュンスター彫刻プロジェクト

ドイツの現代アートを代表する国際展、ミュンスター彫刻プロジェクト

更新日

/

ドイツは現代アートが盛んな国です。多くの都市では現代アートの美術館があり、一般の美術館でも現代アートの展示が開催されます。また世界的に知られる大規模な国際展も多く開催されるため、現代アートを見るためにドイツを訪れる人もいるでしょう。

ドイツで多くの大規模国際展が開催されますが、その中でも特に知られているのはミュンスター彫刻プロジェクトです。それは従来のものにないような特徴を持ち、現代アートの世界において美術作品のありかたを再考させる契機にもなったのです。こちらの記事では、そんなミュンスター彫刻プロジェクトについて取り上げたいと思います。

ミュンスター彫刻プロジェクトの誕生の経緯

ミュンスター彫刻プロジェクトが開催されるのはドイツ西部の都市ミュンスターです。ミュンスターで彫刻プロジェクトが始められたのは1977年のことでした。その発端となったのは、ミュンスターで公共空間に設置された美術作品への市民からの抗議だったのです。そのためミュンスターでは、市民と美術作品を繋ぐために多くのレクチャーなど様々なプログラムが開催されたのです。

このような経緯を経てミュンスター彫刻プロジェクトは誕生しました。そして今では世界的に知られる展覧会となり、今ではドイツが誇る重要な文化イベントになったのです。

ミュンスター彫刻プロジェクトの特徴

ミュンスター彫刻プロジェクトは、他の大規模国際展覧会にない特徴を持っています。それは展覧会が屋外の公共空間を中心にして開催されることです。そもそも公共空間に設置された美術作品が市民との軋轢を生み出したことから始められた展覧会です。そのため市民との対話や、そして公共空間での美術作品のありかたを考えて展示が行われています。

また多くの大規模展覧会は、ビエンナーレやトリエンナーレといった隔年や2年おきに開催されますが、ミュンスターでは10年おきに開催されることになります。それによって、アーティストが街や公共空間、そしてコミュニティーへのリサーチを行うことが可能になり、市民や街と美術作品が確かな関係を持つことが可能となっているのです。

ミュンスター彫刻プロジェクトの重要性

ミュンスター彫刻プロジェクトは、美術作品の展覧会のあり方を大きく変えることになりました。なぜなら美術作品は美術館でしか見られないものだったからです。公共空間に作品が置かれたとしても、その空間を利用する市民との関係は希薄だったのです。こうした美術作品の問題を明らかにして、多くの人と関わることを可能にしたのがミュンスター彫刻プロジェクトでした。

その影響は大きく、例えば日本で人気のある越後妻有トリエンナーレは、ミュンスター彫刻プロジェクトのアイデアを取り入れたものとして知られています。そして、ドイツでは世界的に知られる大規模な国際展ドクメンタと共にドイツを代表する重要な展示として世界的に知られているのです。

2017年の開催

2017年に開催された展示では、市内各所に様々な作品が展示されました。屋外に設置された彫刻作品だけではなく、公共空間に設置されたインスタレーション、そしてミュンスターの歴史的な建物で開催されたパフォーマンスなど作品の種類は多岐に渡りました。例えば、Ayşe Erkmenの作品は、ミュンスターの川(港)に水中に沈む橋を設置しています。それによって二つの岸が結ばれるだけでなく、水面を歩くような体験を楽しむことができました。

また世界的に知られるアーティストPierre Huygheは、閉鎖されたスケートリンクを変容させ、特別な空間を生み出しました。その特殊な環境を通じて、我々を取り囲む環境を気付かせる作品を展示したのです。

ミュンスターに残る彫刻プロジェクトの作品

既に5回開催されたミュンスター彫刻プロジェクトですが、過去の作品の一部はミュンスターの街に残されています。例えば、街の中心部に広がるアー湖周辺には過去に設置された作品が残されています。

その一つが越後妻有トリエンナーレの作品でも知られるイリヤ&エミリア・カバコフの作品です。湖周辺の公園にはアンテナ状の作品が設置されており、そこには文字が取り付けられており、下からその文章を読むことができるのです。

またミニマルアートの巨匠ドナルド・ジャッドのコンクリート構造の作品が同じくアー湖に設置されています。そのため湖周辺を散策しながら、多くの屋外作品を楽しむことができるでしょう。

2027年の開催

ミュンスター彫刻プロジェクトの次回の開催は2027年です。2027年の展示には大きな変化があります。第1回目からの開催での展覧会の企画を担ってきたキュレーター、カスパー・ケーニッヒが2024年に亡くなったからです。そのためキュレーターコレクティブのWhat, How & for Whom/WHWが新しく2027年の企画を担うことになります。そしてカスパー・ケーニッヒが築き上げたミュンスター彫刻プロジェクトに、新しい風を吹き込むことになるでしょう。

また2027年にはカッセルで大規模国際展のドクメンタも開催されることになります。ドイツで重要な展示を合わせて訪れることができるのです。そのためドイツで現代アートを楽しむのであれば、2027年に訪れると良いでしょう。

ミュンスター彫刻プロジェクト / Skulptur Projekte Münster

日程:2027年の夏(発表待ち)

Webページ:ミュンスター彫刻プロジェクト

2026年にルール地方で開催されるマニフェスタはこちらの記事で紹介しています。

ブランデンブルク門

ベルリンの個人ガイド

12月 24, 2023

めったに訪れられないからこそ、充実したベルリン観光を! ベルリンで個人…

旧国立美術館

博物館島で美術作品を楽しむなら、お勧めの美術館「 旧国立美術館」(旧ナショナルギャラリー)

6月 23, 2022

博物館島には旧国立美術館(旧ナショナルギャラリー)があります。そこでは…

ハイデルベルクの公共交通機関の使い方を解説(2026年版)

ハイデルベルクの公共交通機関の使い方を解説(2026年版)

1月 15, 2026

ハイデルベルクはハイデルベルク城があり、美しい旧市街の街があるため、ド…

ベルリンの壁があった場所

総延長およそ150キロ!「ベルリンの壁」跡地を自転車で辿ってみた。(9)モニュメントが伝える悲劇

5月 9, 2025

ベルリンの壁の跡  「ベルリンの壁」の最後の犠牲者の名前が付けられた「…

ドイツの警察官

ハンブルク中央駅で発生した事件について(2025年5月23日)

5月 24, 2025

最近ドイツでは一般市民を狙い、多くの人が負傷する事件が多発しています。…


ページ内検索


カテゴリー


タグ

PR お勧めの展示 お役立ち情報 ケルン シュトゥットガルト デッサウ デュッセルドルフ ドイツサッカー ニュルンベルク ハノーファー バンベルク フランクフルト ベルリンの壁を自転車で辿る ベルリン観光 ライプツィヒ ヴァイマール ヴュルツブルク 現代アート 蚤の市


最新の投稿

ベルリンで必見の見本市「Grüne Woche(国…

ベルリンで必見の見本市「Grüne Woche(国…

様々な商品を紹介する見本市(ドイツ語で「メッセ」)は、ドイツにおいて非常に重要なイベントです。ドイツは見本市大国として知られており、各都市で多種多様な業種の新商品を紹介する催しが開催されています。 ド…

ハンブルクをお得に楽しもう!ハンブルク観光に使える…

ハンブルクの倉庫街

北ドイツの代表的な街ハンブルクは、多くの観光スポットがある場所です。ハンブルク港、倉庫街、ミニチュアワンダーランド、そしてハンブルガークンストハーレと見どころがたくさんあるのです。 そんなハンブルクを…

2026年のドイツのクリスマスマーケットのスケジュ…

ドイツのクリスマスマーケット

こちらの記事では2025年に開催されるドイツの主なクリスマスマーケットのスケジュールを紹介しています。一部発表待ちのクリスマスマーケットもあるのでご注意ください。

ベルリンのお勧めクリスマスマーケット10選と202…

ジャンダルメンマルクトのクリスマスマーケット

こちらの記事では、ベルリンで人気のある10ヶ所のクリスマスマーケットを紹介します。2025年のスケジュール、入場料、会場のアドレスなどの情報を掲載しています。

レーゲンスブルクの公共交通機関の使い方を解説(20…

レーゲンスブルクの公共交通機関の使い方を解説(20…

レーゲンスブルクはドイツ南部に位置する街で、美しい旧市街があることで知られています。そんな旧市街は「レーゲンスブルクの旧市街とシュタットアムホーフ」として世界遺産にも登録されており、多くの観光客が訪れ…