ドイツを訪れる際に多くの人が鉄道を利用するでしょう。ドイツには広大な路線網を持つドイツ鉄道があります。それは主要都市を結んでおり、簡単に他の都市へ移動できるため、ドイツ旅行で役立つ重要な移動手段です。ただしドイツ鉄道には多くの問題があります。なかでも旅行者にとって悩みの種となるのが遅延です。こちらの記事では、そんなドイツ鉄道の遅延について説明します。
ドイツ鉄道の定時運行率(遅延6分未満)
ドイツ鉄道の遅延状況については、ドイツ鉄道が公開している定時運行率を見るとわかるでしょう。定時運行率は、長距離の都市を結ぶ特急・新幹線区分のFernverkehrと、市内や中距離の都市を結ぶ普通・急行・市内鉄道区分のRegioがあります。
下記の表を見るとわかりますが、Regioは90パーセントの列車が定時から6分以内に到着していることがわかります。しかし問題はドイツ版新幹線のICEを含むFernverkehrです。定時から6分以内に到着するのは、なんと6割弱です。しかも2020年は8割でしたが、それが年々悪化しているのです。
種別 | 2024年上半期 | 2023通年 | 2022通年 | 2021通年 | 2020通年 |
---|---|---|---|---|---|
Sバーン、RE、RBなど一般区分の列車 | 90.8% | 91% | 91.8% | 94.3% | 95.6% |
ICE()、IC、ECなどの新幹線や特急区分の列車 | 62.7% | 64% | 65.2% | 75.2% | 81.8% |
2021年から2022年までのドイツ鉄道の定時運行率のテータ
ドイツ版新幹線ICEについては、こちらの記事で紹介しています。
ドイツ鉄道の定時運行率(遅延15分未満)
以前は6分以内の定時到着率を公開していたドイツ鉄道ですが、最近ではFernverkehrについて、定時から15分未満に到着する割合も公開しています。こちらは7割前後となっており、6分未満のものと大きな違いはありません。ICEなどFernverkehrの3割強は15分以上の遅延を起こしているのです。
簡単に言ってしまうと、ドイツ鉄道の特急や新幹線にあたるFernverkehrを使うと、3回に1回は15分以上遅れることになります。この遅延率の高さは、ドイツ旅行でドイツ鉄道を使う際に大きな問題となってしまうのです。
種別 | 2024年上半期 | 2023年通年 | 2023年上半期 |
---|---|---|---|
ICE()、IC、ECなどの新幹線や特急区分の列車 | 66.8% | 68.9% | 73.9% |
参照元は上記の遅延6分未満の定時運行率と同じ
個人的に経験したドイツ鉄道の遅延
ドイツ鉄道を10年以上にわたって利用しているのですが、個人的な経験として2回に1回は遅延している印象があります。もちろん利用する路線のせいだと思いますが、人によってはあまり遅延に遭わない人もいるでしょう。
いずれにせよ私が経験した遅延で最も悲惨だったのは、ドイツ南部のニュルンベルクから北部のベルリンに向かう際に利用した時でした。ドイツ版新幹線ICEを利用して3時間半で到着するのが、4時間以上の遅れがでました。そしてベルリンに到着したのが、朝の4時にだったことがあります。
それ以外にも列車が1時間遅れたため、気温がマイナスの屋外で1時間待ったこともありました。
ドイツ鉄道で遅延や運休が発生した際にできること
国内路線の場合で20分以上の遅延となる場合、国際路線で60分以上の遅延となる場合には、下記の代替策を取ることができます。
- 利用予定の時刻以降、同じルートでも異なるルートでも目的駅まで同乗車券で利用可能(ただしRegioからFernverkehrへの変更は料金が発生)
- 遅延や運休したにも関わらず、100分以内にドイツ鉄道による代替ルートが提示されない場合、FlixtrainやNightjetなど他社の列車を利用することが可能(これはドイツ鉄道の本数が少ない場合や、ドイツ鉄道の終電以降に当てはまります。)
遅延が発生した場合には、駅のスタッフや列車の乗務員に質問すると、解決策を提示してくれるはずです。まずはドイツ鉄道のスタッフに確認すると良いでしょう。
ドイツ鉄道についてはこちらの記事で紹介しています。
ドイツ鉄道での遅延の補償
ドイツ鉄道では、遅延した時間に応じて補償を行っています。ただし例外もあるので、注意してください。
例外1:1日乗車券やジャーマンレイルパスなどの乗り放題となる乗車券(異なる金額の補償となります)
例外2:補償金額が4ユーロ以下となる場合は、補償を受けられません
遅延時間 | 補償金額 |
---|---|
60分以上 | 乗車券の25パーセント |
120分以上 | 乗車券の50パーセント |
ドイツ鉄道で遅延の保証を受ける方法
1、車内のスタッフ、もしくは駅のスタッフから補償申請用紙を受け取る(ダウンロードも可能)
2、申請用紙を記入する
3、駅構内にあるDB Travel Centreに提出する。もしくは郵送で申請する(郵送の場合の宛先はDB Dialog, Servicecenter Fahrgastrechte, 60647 Frankfurt am Main, German)
注1:乗車券を同封する
注2:補償は銀行口座への現金振り込み、もしくはドイツ鉄道の補償金額相当のクーポンを選択できます。
注3:郵送での申請の場合、補償はIBANやBICなどのヨーロッパの銀行口座に振り込まれます。
注4:1ヶ月以内に処理されるとホームページで説明していますが、それ以上時間がかかる場合があります。
注5:デジタルチケットの場合には、メールなどで申請方法が送られてくるはずです。その場合手順や必要書類が異なる可能性があります。
注6:ドイツ鉄道への遅延に関する補償ですが、過去12ヶ月の利用に対して申請できます。
ドイツ鉄道で遅延や運休で考えたいこと
- スケジュールに余裕を持たせる
冒頭で説明した通り、高い可能性でドイツ鉄道は遅延を起こします。また利用予定の列車が運休することもあります。そのため、ドイツ鉄道で移動する場合には、余裕を持ったスケジュールにすることをお勧めします。
- 帰国日にドイツ鉄道を使った長距離の移動を避ける
日本へ帰国する日にドイツ鉄道で長距離の移動をすることを避けた方が良いでしょう。なぜなら、遅延や運休によって予定時刻にたどり着けない可能性があるからです。出発日に最寄りの街にいれば、タクシーやバスといった代替手段があるため、ドイツ鉄道が使えなくても移動することは可能です。
- 乗り換えを減らして直行便を選択する
乗り換えが増えると、遅延や運休に遭遇する可能性が高くなります。選択肢の中に直行便があれば、それを選択することをお勧めします。特に真冬の乗り換えの際に遅延が起きると、屋外で待つことになります。零下の寒空で待つ可能性もあるので、冬の場合には特に直行便を選択することをお勧めします。
- 他の移動手段があるなら、ドイツ鉄道の利用を避ける
ドイツ鉄道は遅延や運休以外にも、ストライキが頻発することでも知られています。そのためドイツ旅行の際に、いずれかの問題に遭遇する可能性は低くありません。できる限り、スケジュール通りに旅行を楽しむのであれば、敢えてドイツ鉄道を利用しないのもありだと思います。
ストライキについては、こちらの記事で紹介しています。
ドイツ鉄道の乗車券の予約代行を行っています。また補償についても可能なケースでは代行を行います。質問があれば、お気軽にこちらの連絡先にご連絡ください。
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