ドイツの駅とICE

ドイツ版新幹線のICEの特徴と乗る際に気を付けたいこと。

ドイツには日本の新幹線にある高速鉄道ICEがあります。それはドイツのJRであるドイツ鉄道が運行しています。インターシティーエクスプレス(Inter City Express)と呼ばれ、ドイツの主要都市を繋いでいます。そのためドイツを旅行する場合には利用する人は多いでしょう。

そんなICEは日本の新幹線と様々な違いがあります。そのため利用する際に戸惑う人もいるかもしれません。そこでこちらの記事では、ICEの特徴や利用の際に気をつけたいことを紹介します。

ドイツの列車

購入時期でICEの乗車券の価格が異なる

ドイツ鉄道の遠距離の路線は、購入時期で乗車券の価格が異なります。当たり前ですが当日に購入すれば高くなり、事前に購入すれば安くなります。

路線や時間帯によって異なりますが、1ヶ月前に購入すれば3割近く安くなるものが出てきます。そして2ヶ月前に購入すれば、半額近いものも出てくるのです。そのためICEのような高額の乗車券を購入する場合は、スケジュールを早めに決めて購入することをお勧めします。

ドイツの駅とICE

ICEには改札がない

ドイツの鉄道を使う際に驚くのは改札が無いことです。地下鉄であれ鉄道であれ、改札はありません。ICEであってもそれは変わることはありません。誰でも乗れる状態になのです。

改札がないため置き引きなどが乗車することもあります。特に駅間距離が短いと、乗車してすぐ下りることができるため盗難が起きやすいです。そのため貴重品を荷物置きに置くことはお勧めしません。

ちなみにドイツ鉄道の不正乗車は最低でも60ユーロの罰金を払うことになるため、チケットを持たずに乗車しないようにしましょう(2024年現在、車内では乗務員から乗車券を購入することはできません。スマホアプリで発車後10分以内であれば、購入することができます。)

ドイツの駅

ICEへの自転車の持ち込み可能

一部のICEでのみ自転車の持ち込みは可能です。ただし乗車券に加えて駐輪スペースを予約しなくてはいけません。そのため事前に乗車券と駐輪スペースを予約しなければ、自転車の持ち込みはできないので気を付けてください。

駐輪スペースの価格ですが、その価格は最低7.5ユーロからとなっています。ベルリンとミュンヘン間は500キロあるのですが、その駐輪スペースの価格は12.9ユーロとなっています。価格は距離によって変動しますが、20ユーロは超えることはなさそうです。

ドイツ鉄道の遠距離列車の自転車の持ち込みについて(ドイツ語)

 

ICEの食堂車(ボードレストランとボードビストロ)

全てのICEに食堂車(Bordrestaurant)もしくは、簡易版であるボードビストロ(Bordbistro)があります。ボードビストロは座席が少なく、立ち席がメインとなっています。しかし品揃えも同じで価格も同じとなっています。

食堂車やボードビストロでは、食事だけでなくお酒も飲むことができます。そのため旅情を楽しむにはぴったりの空間です。こちらでメニューを見ることができますが、10ユーロ以下でも軽食を食べることができます。一般のレストランと比べて多少割高な程度です。そのため気軽に食事を楽しむことができるでしょう。

 

ICEには静かに使う車両がある

ICEにはルーへべライヒ(Ruhebereich)と呼ばれるエリアがあります。これは静かに過ごしたい人が利用するエリアで、それは車両で区分けされています。ルーへべライヒの車両では、携帯の会話、大きな音でのヘッドホンやイヤホンの使用、そして大きな音を出すことできません。基本的に利用者は、本を読んだり、仕事をしたり、リラックスしていいます。

ICEを利用する場合は、どの車両を利用するか確認しましょう。知り合いとワイワイと会話を楽しむのであれば、ルーへべライヒを使うのはやめましょう。もし静かに過ごしたり、リラックスして旅行の疲れを取りたいのであれば、ルーへべライヒがお勧めです。なおルーへべライヒの使用は無料で、誰でも使うことができます。

ドイツ鉄道によるルーへべライヒについての説明(ドイツ語)

 

ICEへペットの持ち込みは可能

ドイツ鉄道では車内にペットを持ち込むことが可能です。それはICEでも変わることはありません。ただしそのサイズで料金や車内に持ち込む方法が変わってきます。

小型犬や猫のようにペット用キャリーケースに入れて運べば乗車券は必要ありません。大型犬の場合には専用の乗車券が必要となります。それは通常の乗車券の半額になります。

ペット用キャリーケースに入らないサイズの犬を車内に持ち込む場合には、リードをつけて、口輪を取り付ける必要があります。

ドイツ鉄道によるペーットの持ち込みについての説明(ドイツ語)

 

ICE内では無料でインターネットが使用できる

ICEではインターネットを無料で利用することができます。また全車両でインターネットの利用が可能です。インターネットはICE内で「WIFIonICE」にログインすることで利用することができます。

時々インターネットが不調で利用できないこともあります。そのためICEで利用できることを過信しないほうが良いでしょう。

 

一等席と二等席がある

 ドイツ鉄道には車両に一等席と二等席があります。一等席は二等席に比べると多くのサービスを受けられるため、乗車券が高くなっています。

一等席を購入した場合、主要駅にあるDBラウンジ(DB Lounge)を無料で利用することができます。そこでは無料のドリンクや無料のインターネットサービスを利用することができます。DBラウンジがあるのは下記の駅です。

ベルリン、ブレーメン 、ドレスデン、デュッセルドルフ、エッセン、フランクフルト、フランクフルト空港、ハンブルク、ハノーファー、ケルン、ライプツィヒ、マンハイム、ミュンヘン、ニュルンベルク、シュトゥットガルト

ドイツ鉄道によるDBラウンジの情報(ドイツ語)

一等席の座席はよりスペースがあり、落ち着いた空間を楽しむことができます。ただし基本的に二等席であっても全く問題ありません。2等席でも座席にはゆとりがあり、落ち着いて電車の旅を楽しむことができます。

ドイツ鉄道による一等席の紹介(ドイツ語)

 

ICE内部

ICE座席の表示に気を付ける

ICEは予約されていない場合が自由席となります。予約されているかどうかは座席周辺のディスプレイに表示されます。そこで予約されているのか、自由席なのかを確認して利用しましょう。

無表示

ディスプレイに何も表示されていない場合は、予約されていない席となります。そのため自由席として、指定席の予約なしに利用することができます。

都市名の表示

指定席を予約した場合、指定席には予約した区間が表示されます。例えばベルリンとハンブルク間の指定席を予約した場合には、座席には「Berlin – Hamburg」と表示されます。その区間以外は利用可能となります。

ggf. freigebenの表示

この表示の座席は、列車の発車直前に指定席を予約する人のために確保されている座席です。利用することもできますが、予約を入れた人が現れた場合、座席を譲りましょう。

ggf. reserviertの表示

これはドイツ鉄道の予約システムが最新状態にアップデートされていない時に表示されます。場合によっては全座席に表示されることがあります。そのため「場合によっては予約されている」という意味となります。この場合には、予約を入れた人が現れた場合に座席を譲りましょう。

 

ICEの遅延は多いので気を付ける

ドイツ鉄道全体で時間通りに目的地に到着する割合は低いです。ICEもその例外ではありません。ICEのみのデータではなくICなど他の遠距離鉄道も含まれますが、ICEとICなど遠距離列車が到着予定時刻15分以内に到着する割合は、およそ6割です(2023年12月)。つまり4割近くの遠距離列車が15分以上の遅延をしていることになります。

ドイツ鉄道の遅延状況のレポート(ドイツ語)

ICEを利用する場合には、ある程度遅延することを計算して、旅を計画したほうが良いでしょう。正確に到着することを前提にすると、トラブルになるかもしれません。例えば、日本への帰国日にICEを利用すると、フライトに間に合わない可能性もあります。そのため、空港のある都市への移動は当日でなく前日にしておいたほうが無難でしょう。