新ナショナルギャラリー
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ベルリンで必見の建築「新ナショナルギャラリー」

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ベルリンには非常に多くの美術館があります。古典絵画を見せる美術館から現代アートを見せる美術館まであり、様々な美術作品を楽しむことができます。このように多くの美術館がありますが、中でも特に有名なのが新ナショナルギャラリー(ノイエ・ナショナルギャラリー)でしょう。

なぜなら、20世期を代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエが美術館の建物を手がけているからです。今回はそんな新ナショナルギャラリーを取り上げて、その魅力や見所を紹介したいと思います。

新ナショナルギャラリーの歴史

新ナショナルギャラリー

新ナショナルギャラリーの歴史は第二次世界大戦までその歴史を遡ることができます。ドイツは敗戦によって東西に分割され、首都ベルリンも東西に分割されました。それは同時に美術館の問題を生み出すことになります。東ベルリンには博物館島などの展示施設がありましたが、西側にも展示を行なえる施設が必要になったのです。

そこで考えられたのが新ナショナルギャラリーでした。ミース・ファン・デル・ローエが建築家として選ばれ、1968年に新ナショナルギャラリーは完成します。これによって隣接するコンサートホール、ベルリン・フィルハーモニーと共に、西ベルリンの文化の中心として重要な役割を果たしていくことになったのです。

ミース・ファン・デル・ローエが手がけた建物

新ナショナルギャラリー

新ナショナルギャラリーを手がけたミース・ファン・デル・ローエですが、合理性や機能性や重要視するモダニズムの建築家として知られています。20世期初頭にミースなどの建築家たちが装飾を排して、ガラスや鉄骨など工業素材を利用した建築を押し進めたのです。これによって大きなガラス窓を取り込むシンプルな空間が可能となり、明るく広々とした現代的な空間が誕生したのです。

新ナショナルギャラリーに生み出されたのは、巨大な柱と梁によって支えられた大屋根、そしてその下に広がる明るく開放的な空間。ミースの晩年期の作品であるこちらの建物では、モダニズム建築の要素を至る所で見つけることができるでしょう。

リノベーションを経て再オープンした新ナショナルギャラリー

新ナショナルギャラリー

このようなベルリンを代表する重要な美術館である新ナショナルギャラリーは、2015年からリノベーションのため休館となっていました。リノベーションは予定された期間よりも長引き、再オープンは遅れていました。

そんなリノベーションも終わったのは2021年のこと。再び美しい建築空間や素晴らしいコレクションを楽しめられるようになったのです。またリノベーションを経て、今まで利用できなかった美術館の彫刻庭園にも入場できるようになっています。そのため、これまで以上にミースの手がけた建築空間を楽しむことができるでしょう。

新ナショナルギャラリーでの展示

新ナショナルギャラリー

建物内部には地上と地下に展示スペースがあります。地上部分にあるのは巨大なガラス窓によって開放感を感じられる空間。ここでは空間を生かした展示やイベントが行われています。そのため展示作品だけでなくミースの建築空間を楽しむことになるでしょう。

地下にあるのは常設展示スペース、カフェ、ショップ、そして彫刻庭園。常設展示では主に第二次世界大戦までの20世期の美術作品が展示されています。20世紀の作品は主にキュビズムやシュールレアリスム、そしてドイツ表現主義などが含まれており、多様な作品を楽しむことができます。

新ナショナルギャラリーの見どころ、キュビズムの作品

新ナショナルギャラリー

新ナショナルギャラリーには多くの美術作品が展示されていますが、その中でもお勧めしたいのがキュビズムの作品です。キュビズムは20世期初頭にピカソとジョルジョ・ブラックに押し進められた新しい絵画のスタイルでした。そこでは対象を抽象的に捉えて、今までにない新しい絵画空間を生み出すことに成功したのです。

こちらではキュビズムを押し進めていたピカソとブラックの絵画を並べて展示しています。そのため二人のキュビズムへの取り組み方の違いに気付くことができるでしょう。共に質の高い作品が展示されているため、今までキュビズムを楽しめなかった人も楽しめるかもしれません。

お勧めの展示コレクション、ムンクの作品

ムンクの作品

新コレクションの中で個人的にお勧めしたいのは「叫び」で世界的に知られているエドヴァルド・ムンクの作品です。ムンクはノルウェー出身ですが、ベルリンに滞在して作品を制作するなど、ベルリンに繋がりがある画家でもあります。

こちらでは展示されているのは、ムンクがベルリン滞在中に制作した劇場のための連作。そのうちの「夏の夜」と名付けられた作品では、夕闇の中に佇む人々の姿が淡くメランコリックに描かれています。こちらでは他にも幾つかムンクの作品が展示されているため、美しくもおぼろげなムンクの世界観を満喫することができるでしょう。

建築もアートも楽しめる新ナショナルギャラリー

新ナショナルギャラリー

新ナショナルギャラリーはベルリンを代表する素晴らしい美術館です。ここでは20世期建築の傑作である建築空間を堪能できるだけでなく、素晴らしい20世期美術のコレクションを楽しむことができます。もしベルリンで美術館を訪れるのであれば、新ナショナルギャラリーを見逃すことはできないでしょう。

ベルリンにはミース・ファン・デル・ローエが手がけた他の建物もあります。その建物は、こちらの記事で紹介しています。

ドイツ便りでは、ベルリンでバウハウス関連やモダニズム関連の建物をご案内します

ベルリン建築個人ガイド

新ナショナルギャラリー(ノイエ・ナショナルギャラリー) / Neue Nationalgalerie

アドレス: Potsdamer Straße 50, 10785 Berlin

入館料: 16ユーロ (毎週木曜16〜20時は入場無料)

開館時間:10〜18時 (10〜20時/木曜日)

休館日:月曜日

Web-Site: 新ナショナルギャラリー

(2025年1月現在)

ベルリンには多くの美術館や博物館があります。その中でも特にお勧めのところをこちらの記事で紹介しています。

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