ベルリンには世界遺産に指定されている博物館島に代表されるように、多くの博物館や美術館があります。ベルリンの美術館や博物館を登録するページには200館を越える施設が紹介されています。
また、その種類も多く、技術博物館や自然博物館、そして歴史博物館などがあり、その種類の多さにも驚かされるかもしれません。このように数も多く、種類もあるため、ベルリンでどの美術館や博物館に訪れるか迷う人もいるでしょう。
こちらの記事ではその中でも特にお勧めのベルリンの美術館や博物館を9館紹介したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。
お勧めの美術館・博物館
ベルリン旅行に役立つ情報は、こちらの記事で紹介しています。
ペルガモン博物館(休館中)
特徴
- 巨大な建築物の展示
- 複数の巨大建築物の展示
- 目玉の展示はペルガモンの祭壇

ベルリンの博物館で最も有名なのは、おそらくペルガモン博物館でしょう。ペルガモン博物館は博物館島の一つの建物で、そこにはペルガモンの大祭壇が展示されています。ペルガモンの大祭壇は、紀元前2世紀頃の古代ギリシア時代に現在のトルコにあった都市ペルガモンに建てられた大祭壇です。

その祭壇は大きく建物となっており、壁面にはギリシア神話のレリーフが嵌められています。このようにペルガモン博物館では、大祭壇が展示されているため、実際にペルガモンの遺跡を訪れるような体験を楽しむことができるでしょう。(残念ながら、2023年10月から2027年までペルガモン博物館は休館しています)

ペルガモン博物館の名前ともなっているペルガモンの大祭壇以外にも見所があります。例えば、古代都市バビロニアに築かれた城壁。そして同じく古代都市ミレトスの市場にあった門です。

いずれも建物であり、博物館の建物の中に建物がある形となっており、その大きさに圧倒されるでしょう。他にも同様に建物の一部などが展示されているため、ペルガモン博物館では、古代都市の中に入り込むような体験を楽しむことができるかもしれません。
ペルガモン博物館は2023年から2027年まで休館します。詳細は下記の記事を確認してください。
ペルガモン博物館/Pergamonmuseum
アドレス: James-Simon-Galerie, Bodestraße 10178 Berlin (ペルガモン博物館の入り口はJames-Simon-Galerieになっています)
入館料: ー
開館時間: ー
休館日: ー
Web-Site: ペルガモン博物館
(2025年1月確認)
新ナショナルギャラリー
特徴
- 建物がモダニズム建築の代表建築物として有名
- 20世紀の美術作品の展示
- 展示の目玉はピカソやブラックなどの20世紀の絵画作品
- 毎週木曜日16〜20時は入場無料

ベルリンの美術館や博物館で、特にその建築で有名なのは新ナショナルギャラリーでしょう。それは20世紀の美術作品を展示する美術館で、その建物は近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエによって手がけられています。

建物は1968年にベルリンの中心部に建てられており、ガラス張りのシンプルで美しい空間を生み出しています。美術館の建物は、ミース・ファン・デル・ローエ自身の代表作としてだけでなく、モダニズム建築の代表するものと言えるでしょう。そのため建築空間を楽しむだけでも、訪れる価値があります。

新ナショナルギャラリーですが、20世紀の美術作品が中心にコレクションされており、ダリ、キリコ、エルンストなどによるシュールレアリスムの作品や、ピカソやブラックなどによるキュビズムの作品が展示されており、多くの作品を通じて20世紀美術の歴史を辿れるようになっています。

このように重要な作品を展示する新ナショナルギャラリーは美術ファンには見逃せない美術館と言えるでしょう。なお美術館はガラス張りの地上階は企画展示が行われるスペースとなっており、地下に常設展の20世紀の美術作品が展示されています。
新ナショナルギャラリー(ノイエ・ナショナルギャラリー) / Neue Nationalgalerie
アドレス: Potsdamer Straße 50, 10785 Berlin
入館料: 16ユーロ (毎週木曜16〜20時は入場無料)
開館時間:10〜18時 (10〜20時/木曜日)
休館日:月曜日
Web-Site: 新ナショナルギャラリー
(2025年1月確認)
新ナショナルギャラリーはこちらの記事で紹介しています。
ユダヤ博物館
特徴
- 建物が現代建築で世界的に有名
- 展示されているのはユダヤ人の文化とホロコーストの記録
- 展示の目玉はユダヤ人の悲劇を体験できる建築空間
- 常設展示は無料

ベルリンの美術館や博物館には、文化を紹介するものもあります。その一つがベルリンのユダヤ博物館です。こちらの博物館ではユダヤ人の文化や、第二次世界大戦時に起きたユダヤ人迫害を紹介するものとなっています。

建物は世界的な名声を誇るダニエル・リベスキンドが手がけたもので、ユダヤ人の迫害を追体験できるような特別な空間が生み出されています。そのため英語やドイツ語の資料を理解できなくとも、真っ暗な空間や、迷路のような建築空間を通じて、当時のユダヤ人が感じた苦しみを感じられるかもしれません。

ユダヤ博物館ではホロコーストの受難を伝えるだけでなく、ユダヤ人の文化を伝える展示も行っています。そこでは日本で簡単に知ることができないようなユダヤの文化に触れることができるでしょう。

このようなユダヤ博物館ですが、企画展を除けば、無料で訪れることができます。そのため博物館の素晴らしい建築空間の体験や、ユダヤ文化の紹介を無料で楽しむことができるのです。もし旅行中に美術館や博物館の費用を抑えるのであれば、ぴったりの場所と言えるかもしれません。
ベルリン・ユダヤ博物館 / Jewish Museum Berlin
アドレス: Lindenstraße 9–14 10969, Berlin
開館時間: 10:00 – 18:00 (毎日)
休館日: ユダヤ人の祝日(ホームページで確認してください)
入場料: 常設展示は無料、企画展は10ユーロ
Web-Site: ベルリン・ユダヤ博物館
入り口で手荷物検査が行われるので注意してください。
(2025年1月確認)
ユダヤ博物館はこちらの記事でも紹介します。
ドイツ歴史博物館(館内一部リノベーション中)
特徴
- ドイツの歴史を学べる博物館
- 展示されているのは歴史的に貴重な資料や展示物
- 展示の目玉は、多くの中世の鎧や武具
(現在19世紀や20世紀以外の展示スペースはリノベーション中で、鑑賞することできません)
ドイツの歴史を辿りながら様々な展示を楽しむことができるのは、ベルリン中心部にあるドイツ歴史博物館です。展示はドイツの歴史全体をカバーしており、古代から現代までの歴史に触れられるようになっています。
特に中世から近代までの展示は充実しており、当時の王侯貴族の調度品が多く展示されています。そのため当時の人々がどのような暮らしを送っていたかを簡単に思い浮かべることができるでしょう。
非常に多くのものが展示されていますが、特に印象的なのは中世の鎧や武器などです。鎧は様々なものが展示されており、中には騎乗する馬のための鎧もあります。武器では、剣や槍などだけでなく鉄砲も多数展示されており、中世の戦を想像することができるかもしれません。
また鎧などに施された装飾に、その個性や技術に驚かされるでしょう。こうした多数の武器や武具の展示は、たとえドイツの歴史を理解できなくても楽しむことができると思います。
ドイツ歴史博物館/Deutsches Historisches Museum
アドレス:Unter den Linden 2, 10117 Berlin
開館時間:10時〜18時
休館日:12月24日
入館料:10ユーロ
Web-site:ドイツ歴史博物館
(2025年1月現在)
ドイツ技術博物館
特徴
- 実物の飛行機や列車などの展示物で有名
- 展示されているのは、技術や産業に関わるもので、飛行機、列車、船舶など
- 展示の目玉は、蒸気機関車を含む40輌近くの鉄道車両と多数の航空機

飛行機や鉄道などに興味がある人に訪れてほしいのはドイツ技術博物館です。こちらの博物館には、実物の船、飛行機、列車などが多数展示されています。それを象徴するように博物館の屋上には実物の飛行機が取り付けられています。

しかし実物の飛行機の展示はそれだけではありません。博物館内の吹き抜けには軽飛行機などが吊り下げられており、他にも展示室に戦闘機などが展示されています。そのため充実した展示内容や斬新な展示方法に驚かされるでしょう。
展示の目玉とも言えるのは多数の鉄道車両の展示です。博物館の敷地は実際の鉄道の車両基地であったため、転車台が残されています。残された車両基地の建物には鉄道の歴史をたどるように、初期の蒸気機関車から現代の鉄道車両まで展示されています。その数は40両以上にも及び、その充実したコレクションに驚かされるでしょう。
そのような鉄道車両に近づくことができ、その中に入ることができるものもあります。そのため鉄道好きの人にはたまらない展示となっているのです。
ドイツ技術博物館/Deutsches Technikmuseum
アドレス:Trebbiner Straße 9, 10963 Berlin
開館時間: 9時〜17時30分、10時〜18時(土日、祝)
休館日:月曜日
入館料:12ユーロ
Web-site :ドイツ技術博物館
(2025年1月現在)
自然史博物館(フンボルト博物館)
特徴
- 動物学、古生物学、鉱物学を取り扱う博物館
- 多数の鉱物、化石、アルコール標本、動物標本などを展示
- 展示の目玉は巨大な恐竜化石の骨格の展示
- 大量のアルコール標本を並べた展示室は圧巻

ベルリンで人気がある博物館の一つは自然史博物館かもしれません。フンボルト博物館とも呼ばれているこちらの博物館では、鉱物、化石、アルコール標本など素晴らしいコレクションが展示されています。

展示の見所の一つがアルコール標本を集めたホールで、そこでは保管スペースの棚や壁をガラス張りにしており、所蔵する膨大なコレクションの一部の4000本の標本を鑑賞できます。そして、その標本の数や、それらが生み出す圧倒的な空間に驚かされるでしょう。

自然史博物館を代表する展示が、恐竜の化石の骨格の展示です。ギラッファティタンと呼ばれる高さ12メートルを越す恐竜の化石が骨格標本として展示されています。骨格標本は高さのあるホールに展示されていますが、それでも恐竜の頭部は天井すれすれまで伸びており、その巨大さに驚かされるでしょう。

他にも始祖鳥の化石が展示されているなど、化石のコレクションは充実しており、それを見るだけでも訪れる価値があります。もちろんアルコール標本や化石の展示以外にも、コレクションを美しく見せる素晴らしい展示を行っているため必見の場所です。
自然史博物館/Museum für Naturkunde Berlin
アドレス:Invalidenstraße 43, 10115 Berlin
開館時間: 9時30分〜18時、10時〜18時(土日、祝)
休館日:月曜日
入館料: 11ユーロ
Web-site:自然史博物館
(2025年1月現在)
自然史博物館(フンボルト博物館)については、こちらの記事で紹介しています。
新博物館
特徴
- エジプト美術と先史時代の出土品を展示する博物館
- ミイラや石棺などを多数展示
- 展示の目玉はエジプトの王妃ネフェルティティの胸像
- 美しい展示空間も特に人気

新博物館は世界遺産にも指定されている博物館島の中にある博物館の一つです。その展示は先史時代のものやエジプト美術が中心となっています。新博物館は第二次世界大戦によって損傷しており、修復されて2009年にオープンした新しい博物館です。

建物は世界的に活躍している建築家デイヴィッド・チッパーフィールドがリノベーションを手がけており、ただ展示を見るだけでなく、空間を楽しめるような素晴らしい建築空間を実現しています。

展示の目玉となっているのは、古代エジプトの王妃ネフェルティティの胸像です。紀元前14世紀頃の美術作品ですが、今から3000年以上のものと思えないほど写実的なものとで、古代エジプト美術を代表する作品と言われています。

また、そのためにエジプトから返還を求められているように、ネフェルティティの胸像は所有権の問題を抱えています。このような素晴らしいネフェルティティの胸像ですが、新博物館では間近で鑑賞できるのです。それ以外にも装飾を施されたミイラの棺などが多数展示されており、エジプト美術を存分に楽しむことができる博物館となっています。
新博物館/Neues Museum
アドレス: James-Simon-Galerie, Bodestraße 10178 Berlin (新博物館の入り口はJames-Simon-Galerieになっています)
入館料: 14ユーロ(特別展により異なる)、博物館島チケット(24ユーロ)、ミュージアムパス(32ユーロ)
開館時間:10〜18時
休館日:月曜日
Web-Site: 新博物館
(2025年1月現在)
新博物館についてはこちらの記事で紹介しています。
絵画館
特徴
- 多数の絵画を展示する美術館
- 展示されているのは13世紀から18世紀までの絵画作品
- 展示の目玉はフェルメールの作品
- 多数コレクションされているレンブラントの作品も有名

ベルリンで美術作品を楽しむのであれば、ぜひ訪れてほしいのは絵画館です。美術館が位置するのはポツダム広場の近く。周辺には新ナショナルギャラリーなどの美術館があり、それらの施設と共に文化的な一角を形成しています。展示されているのは13世紀から18世紀までの絵画作品です。

展示されているデューラーやクラナッハなどのドイツ絵画の作品、ボッティチェリやカラヴァッジョ、そしてティツィアーノなどのルネサンス作品、そして、レンブラントやフェルメールといった充実したオランダ絵画の作品です。重要な作品を多くコレクションしていることで知られている美術館です。

美術館の見所は幾つかあるのですが、そのうちの一つがピーテル・ブリューゲルの傑作の展示です。展示されているブリューゲルの作品は「ネーデルラントの諺」で、キャンバスの上に100以上ものことわざを描いています。一つ一つのことわざを表す情景が画面の至る所に絵がかれているため、それを見つける面白さもあります。

絵画館で特に知られているのはフェルメールの作品です。フェルメールは作品数が少ないことでも知られていますが、こちらの美術館には2点の作品が展示されています。そのため、2点の作品を通じてフェルメールの世界観を堪能することができるでしょう。
絵画館(ゲメルデ・ギャラリー) / Gemäldegalerie
アドレス:Matthäikirchplatz 10785 Berlin
開館時間:10〜18時
休館日:月曜日
入場料:12ユーロ
Web-Site:絵画館(ゲメルデ・ギャラリー)
(2025年1月現在)
絵画館については、こちらの記事で紹介しています。
ハンブルガーバンホフ現代美術館
特徴
- 現代アートを展示する美術館
- 展示されているのは、絵画、立体(インスタレーション)、映像、彫刻、パフォーマンスなどの現代アート作品
- 展示の目玉は、ドイツの現代アートの巨匠のヨゼフ・ボイスの作品
- 駅舎を使った美しい展示空間で有名

ベルリンと言えば、現代アートを思い浮かべる人もいるでしょう。そんな人に訪れてほしいのが、ハンブルガーバンホフ現代美術館です。位置するのはベルリン中央駅にすぐ近くで、交通アクセスは抜群の美術館です。このような美術館ではドイツを中心とした世界の現代アート作品がコレクションされています。

美術館の特徴となるのは特徴的な建物です。それは鉄道の駅として使われていたもので、かつてはメインホールに多くの列車が停っていました。そんな天井が高く広々とした空間では、映像やインスタレーション、そしてパフォーマンスなどの様々な作品が展示されているのです。

ハンブルガーバンホフ現代美術館の特徴は、最新の現代アートの動向を見せる、意欲的な企画です。ドイツには「Preis der Nationalgalerie(国立美術館大賞)」と呼ばれる若手アーティストの中から秀でたアーティストを取りあげる賞がありますが、その受賞者の展示を行うことでも知られています。

美術館の作品は基本的に定期的に入れ替えられているため常に鑑賞できるとは限りませんが、ドイツの現代アートの巨匠であるヨーゼフ・ボイスの作品が多くコレクションされています。運が良ければ、そんなボイスの主要作品の一部を鑑賞できるため、ぜひ訪れてみてください。
ハンブルガーバンホフ現代美術館 / Hamburger Bahnhof – Museum für Gegenwart
アドレス: Invalidenstraße 50-51, 10557 Berlin
入場料: 16ユーロ(特別展込み)
開館時間:10〜18時、 10〜20時/木曜日、11〜18時/土〜日、
休館日:月曜日
Web-Site : ハンブルガーバンホフ現代美術館
(2025年1月確認)
ハンブルガーバンホフ現代美術館については、こちらの記事で紹介しています。
ドイツ便りではお客様の訪れたい場所にご案内します