南ドイツ最大の都市ミュンヘンはドイツ旅行にぴったりの街です。街の歴史は古く、宮殿や教会など古い建物が残されています。また多くの美術館や博物館があるため、訪れる場所に困ることはないでしょう。
そんなミュンヘンを旅行する際に、ぜひ訪れてほしい美術館があります。それはノイエ・ピナコテークと呼ばれる美術館です。そこには近代美術の作品が多くコレクションされており、モネやルノワールといった印象派の作品から、ゴッホやゴーギャンなどの世界的に人気のある画家の作品を鑑賞することができます。
そのためミュンヘンで見逃すことのできない重要な観光スポットと言えるでしょう。こちらの記事では、そんなノイエ・ピナコテークについて紹介したいと思います。
ミュンヘンで必見の美術館ノイエ・ピナコテーク
ノイエ・ピナコテークは古典絵画を展示するアルテ・ピナコテーク、現代美術やデザインなどを展示するピナコテーク・デア・モデルネと隣接しており、ミュンヘン市の中心部で文化的な一角を形成しています。
アルテ・ピナコテークでは、アルテが「古い」という意味を表すように14世紀から18世期の絵画作品をコレクションしています。その一方でノイエ・ピナコテークでは「新しい」という意味を表すように、18世期から20世紀初頭の美術作品をコレクションしているのです。
ノイエ·ピナコテークの歴史ですが、それは19世期半ばにミュンヘンを治めていたバイエルン国王が、当時の新しい美術を展示する建物として建てたことに始まっています。残念ながら、建物は第二次世界大戦によって破壊されており、現在ではモダンな建物の美術館に置き替えられています。
印象派、ロマン主義、世紀末美術などの作品を展示するノイエ・ピナコテーク
こちらの美術館でコレクションされているのは、既に紹介しているように18世期から20世紀初頭の美術作品です。18世紀から20世紀には多くの近代化の動きが起こり、それに合わせて美術も様々な動きが起こっています。
例えば、雄大な自然を人間と対照的に描いたロマン主義があり、ドイツではカスパー・ダーヴィト・フリードリヒが知られています。そしてフランスでは保守的なサロンに対抗して、日常的な暮らしを感覚的に捉える印象派が生まれ、モネやルノアールが活躍しました。
19世紀には産業や技術の発達によって目に見えないものへと興味などから、世紀末美術と呼ばれる心の内側を描くような美術の動きが起こり、多くのアーティストがミステリアスな作品を描いています。
ノイエ・ピナコテークでは、こうした18世紀から20世期初頭の作品がコレクションされており、美術の動きの変化も感じられるようになっているのです。
ノイエ・ピナコテークの見どころ1:ゴッホのひまわり
ノイエ・ピナコテークのハイライトと言えるのはゴッホの作品でしょう。ゴッホといえば、言わずと知れた、誰もが知る画家の一人です。そんなゴッホの作品でも特に有名なのがひまわりを描いた作品です。
ゴッホはひまわりを好んで描いた時期があり、花瓶に挿したひまわりを描いた作品が7点描かれており、今に残されているのは6作品あります。そのうちの1点をこちらの美術館で見ることができるのです。
ゴッホの作品は感情を表す強烈な筆致が特徴です。ひまわりの花を描いた作品は、まさにその筆致を楽しめるものとなっています。ゴッホは多くの作品を描いており、多くの美術館で展示されています。しかしゴッホの代表作とも言えるひまわりの作品を展示する美術館は僅かしかありません。
ですので、美術ファンにとってノイエ・ピナコテークは必見の場所と言えるでしょう。
ノイエ・ピナコテークの見どころ2:クリムトの作品
クリムトといえば、装飾的な美しい作品で知られている画家です。日本でも多くの展覧会が開催される、日本人にとって非常に馴染みのある画家でしょう。そんなクリムトの作品がノイエ・ピナコテークに展示されているのです。
展示されているのは「マルガレーテ・ストンボロー=ウィトゲンシュタイン」と呼ばれる若い女性を描いた作品。これはウィーンの大富豪ウィトゲンシュタイン家の娘が結婚する際に描いたものです。また女性の弟が世界的に有名な哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインであることも知られています。
こちらの作品では、装飾と写実を絶妙に組み合わせたクリムトの画風を堪能することができます。そのため、多くの素晴らしい作品が展示されているノイエ・ピナコテークで必ず見ておいてほしい作品です。
ノイエ・ピナコテークの見どころ3:カール・シュピッツヴェークの作品
ノイエ・ピナコテークには世界的に知られているわけではありませんが、素晴らしい名作があります。それはドイツ人画家カール・シュピッツヴェークの作品です。シュピッツヴェークは、ファンタジーの一場面のような光景を描いており、独特で個性的な作品を多く生み出しています。
ノイエ・ピナコテークにあるのは「貧乏詩人」と呼ばれる作品。それは屋根裏に住む貧乏な詩人が作品を作り出している様子を絵に仕立てています。描かれているのは絵の挿絵に使われるような光景。それを一度見たら忘れることはないでしょう。
シュピッツヴェークは決して誰もが知る巨匠ではありませんが、その画風から多くの人に愛される画家です。そんなシュピッツヴェークの代表作を見逃すことはできないでしょう。
ノイエ・ピナコテークはリノベーションのため2029年まで休館予定
ノイエ・ピナコテークは多くの文化施設に隣接しており、ミュンヘンで文化を楽しむには最適な場所。また入場料も低く抑えられているため、美術ファンでなくとも、ぜひとも訪れておきたい場所です。
ただ残念ながら、2019年より美術館の建物ではリノベーション工事が行われており、現在休館しています。そのため、しばらくノイエ・ピナコテークを訪れることはできません。また当初2025年まで予定されていた休館も、2029年に再オープン予定と変更されています。
ただしノイエ・ピナコテークを訪れなくとも、コレクションを楽しむことはできます。美術館の一部の作品は、隣接するアルテ・ピナコテークと周辺に位置しているコレクション・シャック(Sammlung Schack)で展示されているのです。ぜひ、そちらでノイエ・ピナコテークの素晴らしいコレクションを楽しんでみてください。
ノイエ・ピナコテーク/ Neue Pinakothek
アドレス: Barer Straße 29, 80799 München
開館時間: –
休館日: –
入場料 :-
Website: ノイエ・ピナコテーク
(2024年5月確認)