南ドイツにある都市ミュンヘンは観光に最適な街です。街には歴史もあり、そして文化的に恵まれた場所であるため、宮殿、博物館、そして美術館といった多くの見どころがあります。その中でも有名な場所はアルテ・ピナコテークかもしれません。
それは多くの絵画を展示する美術館で、そのコレクションにはルネサンスの天才画家レオナルド・ダ・ヴィンチや、ドイツの古典美術の巨匠アルブレヒト・デューラーの作品が含まれるなど、素晴らしいものとなっています。そこで今回はミュンヘン屈指の観光スポットで、多くの傑作を鑑賞できるアルテ・ピナコテークについて紹介したいと思います。
アルテ・ピナコテークの歴史

アルテ・ピナコテークがあるのはミュンヘン市内の中心部の文化施設が集まるエリア。建物のすぐ横には、近代絵画を展示するノイエ・ピナコテーク、そして現代美術やデザイン作品を見せるピナコテーク・デア・モデルネがあります。そのため様々な美術作品を楽しむことができるミュンヘンの文化的中心地と言えるかもしれません。このような美術館ですが、その歴史は数百年前に遡ることができます。
美術館のコレクションの始まりは、ミュンヘンを治めていたバイエルン国王のコレクションでした。16世期頃からバイエルン王国を統治するヴィッテルスバッハ家は積極的に美術作品をコレクションしていきます。こうした作品を展示する建物として1826年にアルテ・ピナコテークが建てられたのです。そして今では美術館は公立のものとなり、そのコレクションは一般に公開されているのです。
アルテ・ピナコテークのコレクション

アルテ・ピナコテークでは14世紀から18世期までの絵画がコレクションされています。コレクションの重点はルネサンスやバロックの美術作品。例えば、ルネサンス美術では、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェッリ、ラファエロなど巨匠の作品が含まれています。
一方バロック美術では、ルーベンスやレンブラントといった美術の教科書に登場するような画家の作品が展示されているのです。その他にもドイツの古典美術の巨匠である、デューラーやルーカス・クラナッハなどの作品も展示されており、コレクションの大部分は美術史に登場する重要なアーティストの作品なのです。そのため美術に詳しくなくても作品を楽しむことができるでしょう。
アルテ・ピナコテークの見どころ:レオナルド・ダ・ヴィンチの作品

コレクションのハイライトとも言えるのがレオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。レオナルドは寡作で絵画作品は二十数点しか残されていません。しかもそのうちの一部の作品は真作か疑われており、作品数は非常に少ないのです。そんな貴重なレオナルドの作品の1点がこちらの美術館に所蔵されてます。同時にそれはドイツで所蔵されている唯一のレオナルドの作品でもあるのです。
展示されているのは「カーネーションの聖母」で、レオナルドが20歳を過ぎた頃に描いた初期の作品。描かれているのは幼児のキリストとそれを抱く聖母マリアの姿です。初期の作品であるためレオナルドらしい作風ではありませんが、それでもレオナルドの特徴を感じさせる作品となっています。
見どころ:アルブレヒト・デューラーの作品

ドイツのルネサンス期を代表する画家であるアルブレヒト・デューラーの作品は、アルテ・ピナコテークの目玉作品です。デューラーは南ドイツの街ニュルンベルク出身で、15世期末から16世期初頭に活躍した画家です。そんなデューラーの代表作がこちらで所蔵されています。
所蔵されているのは「四人の使徒」と「自画像」などの作品。とても写実的に描かれており、「四人の使徒」にいたっては、絵画ではなく写真と思えるほどです。その一方で、ただ写実的なだけでなく、絵としてまとまっており、一目で傑作とわかるでしょう。教科書にも載っているおなじみの作品であり、何よりも素晴らしい作品であるため見逃すことはできません。
見どころ:ピーテル・ブリューゲルの作品

アルテ・ピナコテークには巨匠の作品が目白押しなのですが、その中でお勧めしたいのが、フランドル(現ベルギー、オランダ、フランスに跨がるエリア)出身のピーテル・ブリューゲルの作品です。ピーテル・ブリューゲルは寡作の画家と知られており、残されている作品は十数点しかありません。そのうちの貴重な一点がこちらの美術館で展示されているのです。
展示されているのは「怠け者の天国」という作品。描かれているのはユーモラスな光景で、食べ物に囲まれて三人の人物が寝ているというもの。作品名にあるように、食べ物が寝ているうちに用意されて、それを待つだけという怠け者にとって最高のシチュエーションが描かれているのです。こうした作品はブリューゲルらしいユーモラスさがあり、美術をわからなくても楽しめる作品でしょう。
入場料が安くお得に訪れられるアルテ・ピナコテーク

アルテ・ピナコテークはドイツを代表する美術館の一つですが、入場料が安くなっており、気軽に訪れられるのです。入場料の価格は9ユーロと安い価格となっています。それだけでなく日曜日には入場料が僅か1ユーロになるのです。そのため日曜日に訪れれば、かなりお得になるでしょう。
また火曜、水曜は夜8時まで開館しているなど、より訪れやすくなっています。入場料も安く、曜日によっては夜間も開館しているので、他の観光名所と比べても訪れやすいでしょう。ですので気軽に訪れてみてください。
ノイエ・ピナコテークの作品も鑑賞可能

なお現在ノイエ・ピナコテークがリノベーションのため休館しています。そのノイエ・ピナコテークの所蔵作品の一部がアルテ・ピナコテークで展示されています。そのためアルテ・ピナコテークのコレクションだけでなく、ノイエ・ピナコテーク所蔵のゴッホやクリムトなどの作品も併せて見ることができます。なのでノイエ・ピナコテークの作品を見たい方は、アルテ・ピナコテークを訪れてみてください。
アルテ・ピナコテーク / Alte Pinakothek
アドレス: Barer Straße 27, 80333 München
開館時間: 10〜18時、10〜20時 / 火、水曜
休館日: 月曜日
入場料: 9ユーロ、1ユーロ/日曜
Website: アルテ・ピナコテーク
(2025年1月確認)
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