ドイツはかつて東ドイツと西ドイツに分かれていました。 ソヴィエト連邦の影響下にあった東ドイツは社会主義国でした。そのため西側諸国とは異なる政治体制があり、そこでの暮らしは異なるものでした。そんな東ドイツはベルリンの壁の崩壊後に、西ドイツに吸収される形で統一します。そして統一して30年以上経った今では、東ドイツを感じさせるようなものは多く残されていないのです。
しかしベルリンには東ドイツを感じられるような場所があります。それは東ドイツ博物館(DDR)博物館です。今回は、そんな東ドイツ博物館について紹介したいと思います。
ベルリンには多くの美術館や博物館があります。その中でも特にお勧めしたい場所を、こちらの記事で紹介しています。
多くの観光スポットに囲まれた東ドイツ博物館
東ドイツ博物館があるのはベルリンの中心部とも言える場所。その場所はかつてのベルリンの東側だった場所です。すぐ横にはシュプレー川が流れており、その川を挟んで向かい側に博物館島があります。また川を挟んだ正面にはベルリン大聖堂が聳えています。
そんなシュプレー川の川岸に東ドイツ博物館は位置しているのです。近くには地下鉄の博物館島駅があり、周りには多くの観光スポットがあるため、博物館島の博物館やベルリン大聖堂と合わせて訪れられる、ツーリストに打ってつけの観光スポットかもしれません。
飽きさせないインタラクティブな展示
東ドイツ博物館に足を踏み入れると、早速東ドイツのものが出迎えてくれます。それはアンペルマンと呼ばれる東ドイツで使われていた信号機。通常は赤信号のマークを表示しており、チケットを入れると青信号となって中に入れるのです。そんなアンペルマンの信号を抜けて入ると、様々な東ドイツのオブジェが置かれた展示室へと足を踏み入れることになります。
展示はインタラクティブなものとなっていて、戸棚を開けるとモニターが入れられていて、映像を見ることができるなど、展示に飽きさせないような工夫がされているのです。
東ドイツ博物館の見所、トラバントの展示
そんなインタラクティブな展示の目玉の一つは、東ドイツの車であるトラバントでしょう。トラバントは東ドイツで生産されていた小型車で、FRPと呼ばれる繊維強化プラスティックが使われていました。その重さは600キロ程度しかなく、あまりの軽さのために段ボール製だと揶揄されたほどでした。
今ではその特異性から、トランバントは東ドイツ製品のシンボルとみなされるほど。そんな車は東ドイツ博物館の目玉展示となっています。実際に車内に乗り込むことができ、フロントガラスには運転する車窓が映されるため、トラバントの乗り心地を楽しむことができるでしょう。
レトロな雰囲気を楽しめる再現された東ドイツの住まい
展示は典型的な東ドイツの暮らしを体験できるように当時の住まいが再現されています。独特な模様の壁紙にレトロな木目柄の家具。日本で言えば、60年代や70年代の高度成長期の住まいのような印象を感じさせるキッチンやリビングルームが再現されています。
そんなスペースにはタイプライターが置かれるなど、漂うのはレトロな雰囲気。こうした空間にいると、タイムスリップしたような感覚を感じれるかもしれません。どうしても情報過多になりがちな博物館ですが、こちらでは東ドイツを気軽に感じることができるのです。
資料によって学べる展示も
インタラクティブな展示に重きを置いてありますが、もちろん東ドイツを学べるような展示も用意されています。例えば、当時の東ドイツの労働者の給料を比べるといったもの。工事現場の労働者、エンジニア、販売員の給料が比較される形で展示されており、当時の東ドイツの人々の暮らしを垣間見ることができます。
また当時のバケーションは、低所得者でも行けられるように実費は3割程度で旅行できるような制度もあったようです。こうした資料は英語やドイツ語となってしまいますが、これらを通じて東ドイツの様々なことを学べる場にもなっていました。
ベルリンで東ドイツを体験
個人的に東ドイツ博物館で感じたのは、気軽に楽しめる東ドイツでした。実物の資料などを通じて東ドイツを学ぶというよりも、当時の住まいの再現や、実物の車などを使ったインタラクティブな展示で、東ドイツを気軽に体験できる場だと思います。ですの東ドイツのことも気軽に知ってみたい人にとってはお勧めな場所と言えるでしょう。
東ドイツ博物館(DDR博物館)/ DDR Museum
アドレス : Karl-Liebknecht-Str. 1, 10178 Berlin
開館時間 : 9〜21時
休館日 : 無休
入場料 : 13.5ユーロ
最寄駅 : 地下鉄「博物館島」駅、Sバーン「ハッケシャー・マルクト」駅
ホームページ : 東ドイツ博物館
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