ベルリンにある世界遺産と言えば、多くの人が博物館島を思い浮かべるでしょう。そんな博物館島は美術館や博物館のあるエリアのことで、その中でもペルガモン博物館が有名です。ペルガモン博物館では、ペルガモンの大祭壇などの建築物を建物内で展示しており、迫力のある展示で知られています。
ですが、博物館島には他の見所があります。それは旧国立美術館(旧ナショナルギャラリー)です。こちらの美術館では印象派などの作品だけでなく、ドイツを代表する有名な画家の作品も展示されています。今回はそんな旧美術館を紹介したいと思います。
博物館島にある美術館
世界遺産に登録されている博物館島ですが、あわせて5館の美術館や博物館があります。旧国立美術館もその一つの美術館です。それがオープンしたのは1876年のことで、博物館島の中で3番目に開館しました。
こちらで収蔵されているのは、開館した当時の19世期の作品が多くを占めています。絵画だけでなく彫刻作品もコレクションされており、1800点の絵画と1500点の彫刻が収蔵されています。このようなコレクションの多くは、印象派、ロマン主義、象徴主義などで、日本人にとっては身近なマネ、モネ、ルノワールの作品も展示されているのです。
旧国立美術館で見るセザンヌ
旧国立美術館では日本人に馴染みのある有名な画家の作品がコレクションされていますが、その中でも人気のあるのはセザンヌでしょう。セザンヌは印象派とは言えませんが、印象派と同時代に活動しており、また多くの交流がありました。こちらではそんな繋がりを感じさせるように印象派と合わせて展示されています。
コレクションされているのはセザンヌの風景画と静物画。風景画は代表作と言えるものではありませんが、セザンヌらしい独特な空間を感じられるものでセザンヌが好きな人には満足できる作品でしょう。
アーノルド・ベックリンの「死の島」
日本でよく知られている作家の作品がある一方で、ここで紹介したいのはドイツで活動していた画家たちです。その一人が象徴主義の画家として知られるアーノルド・ベックリンです。旧国立美術館で展示されているのはベックリンの代表作である「死の島」。
描かれているのは墓地のある小さな島に船が近付こうとしている様子です。ミステリアスな雰囲気を漂わせる作品ですが、描かれた当時から非常に人気があり、5枚の同じ構図の作品が制作されました。5枚のうち1枚は戦争によって失われましたが、ドイツのライプツィヒ、スイスのバーゼル、そして、ニューヨークに他の「死の島」が展示されています。ライプツィヒはベルリンから近いので、合わせて訪れると良いかもしれません。
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒのコレクション
旧国立美術館のコレクションの中核ともいえるのが、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの作品です。ロマン主義の画家として知られるフリードリヒの作品がまとまって見ることができるのは、ベルリン、ハンブルク、そしてドレスデンの美術館だけです。その中でも旧国立美術館のコレクションは最も重要なものと言えるかもしれません。
特に重要なのは「楡の木のある僧院」と「海辺の僧侶」の一対の絵画作品です。廃墟が織りなす風景や、雄大な大自然といった典型的なロマン主義の主題が取り上げられており、ロマン主義の真髄に触れられるかもしれません。他にもフリードリヒの作品が展示されているため、フリードリヒの世界観をたっぷりと楽しむことができるでしょう。
旧国立美術館で数多くの名作を楽しむ
旧国立美術館では日本で人気のある印象派などの作品が展示されています。しかしそれらの作品数は決して多いわけではなく、それを期待してしまうと肩透かしを食らうかもしれません。ですが、旧国立美術館にはアーノルド・ベックリンの代表作が展示されており、美術史に名を残す名品に出会えるでしょう。
それだけでなくドイツで人気のあるカスパー・ダーヴィト・フリードリヒの重要なコレクションを見ることができます。そしてフリードリヒの雄大な世界観を楽しむことができるでしょう。もし博物館島を訪れるなら、旧国立美術館でどっぷりとドイツの美術作品やその世界観を楽しんでみてはどうでしょか。
旧国立美術館(旧ナショナルギャラリー)/Alte Nationalgalerie
アドレス: Bodestraße, 10178 Berlin
入館料: 12ユーロ(ただし特別展開催時の価格は異なる)、博物館島チケット(24ユーロ)、ミュージアムパス(32ユーロ)
開館時間:10〜18時(ただし特別展開催時の価格は異なる)
休館日:月曜日
Web-Site: 旧国立美術館
(2024年5月確認)