ベルリンには多くの重要な建物が建てられています。その代表と言えるのは20世紀に建てられた集合住宅で、それらは「ベルリンのモダニズム集合住宅群」として世界遺産に登録されています。
また第二次世界大戦後にはベルリンの街の復興の際に街のシンボルとなるような建物が多く建てられました。そしてドイツ再統一以降、ベルリンでは再開発が行われ新しい重要な建物も建てられています。
このようにベルリンには多くの重要な建築物があるため、どこを訪れて良いか迷うかもしれません。そこで、こちらの記事ではその中でも特にお勧めの建築について紹介したいと思います。
馬蹄型集合住宅 / ブルーノ・タウト
ベルリンには世界遺産に指定されている「ベルリンのモダニズム集合住宅群」があります。これには20世紀初頭に建てられた6つの集合住宅が指定されています。そのなかでも特に有名なのが馬蹄型集合住宅です。
こちらの集合住宅を手がけたのはブルーノ・タウトで、1925年から1933年かけてベルリンの郊外に建てられました。

20世紀初頭のベルリンでは産業の発達のため工場などが建てられ、多くの人々が都市部に移り住みました。しかし、そこで起きたのが住宅不足という問題でした。
それによって多くの人が窓が無い建物で、空気の悪い暗い空間の中で住むことを余儀なくされたのです。こうした問題に取り組んで建てられたのがモダニズムの集合住宅だったのです。

ブルーノ・タウトの手がけた建物は、その名前の通り馬の蹄の形をしたものとなっています。蹄の中心部に池があり、それを囲むように庭があります。それを包む形で楕円形の建物が建てられているのです。
それによって、いずれの家も池や庭に面することになります。またベランダがあり、日光や新鮮な空気を取り込むことが可能となったのです。こうして集合住宅であるにもかかわらず、多くの住人により良い暮らしを可能としているのです。

馬蹄型集合住宅 / Hufeisensiedlung
アドレス:Fritz-Reuter-Allee 48, 12359 Berlin
現在も多くの人が住む住宅のため住居内は見学不可
(2025年3月確認)
ユニテ・ダビタシオン / ル・コルビュジエ
ベルリンには多くのモダニズム建築が建てられていますが、多くの人は世界遺産に登録されている「ベルリンのモダニズム集合住宅群」を思い浮かべるでしょう。
しかしベルリンにはモダニズム建築を代表する建物が他にもあるのです。それはモダニズム建築の巨匠であるル・コルビュジエの手がけたユニテ・ダビタシオンです。

ユニテ・ダビタシオンはル・コルビュジエが設計した集合住宅で、フランスとドイツに同じタイプの建物が合計6棟建てられました。フランス以外に建てられたのはベルリンのものだけです。
いずれの建物は1950年代から1960年代に建てられており、ベルリンのものは1957年に建てられています。このようなユニテ・ダビタシオンはモダニズム建築を代表する建物であるため、フランスのマルセイユのものは「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」として世界遺産に登録されているのです。

ユニテ・ダビタシオンは300戸およそ1600人が住むことができる巨大な集合住宅です。規格化された構造となっており、コンクリートの枠組みにプレハブの住居をはめ込む形となっています。
建物は一つの都市として考えられており、店舗や体育館なども設置されています(ベルリンのものは店舗のみ)。都市として考えられている建物ですが、各フロアに表示された「通り/strasse」という表記からわかるかもしれません。
ユニテ・ダビタシオンはル・コルビュジエの代表作の一つであり、それをベルリンで訪れることができるため、必見の建築となっています。

ユニテ・ダビタシオン / Unité d’habitation
アドレス:Flatowallee 16, 14055 Berlin
現在も多くの人が住む住宅のため住居内は見学不可。1階の展示スペースは見学可能。
(2025年3月確認)
新国立美術館 / ミース・ファン・デル・ローエ
モダニズム建築の巨匠として、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ヴァルター・グロピウス、そしてルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエを挙げることができるでしょう。
いずれもガラスや鉄など現代的な素材を使って、機能的な建築を実現させており、彼らのモダニズム建築の思想は現代の建築にも大きな影響を与え続けています。
そんなモダニズム建築の代表作の一つとも言えるのが、ミース・ファン・デル・ローエの新国立美術館です。

新国立美術館が建てられのは1960年代で美術館としては1968年にオープンしています。そんな建物ですが、鉄骨の柱とガラスの外壁が大きな特徴となっており、大きな板状の屋根が宙に浮かぶような構造となっています。
建物はガラス窓に覆われており、柱などの存在が抑えられているため、屋外空間まで一体感があり、広々とした明るい空間を実現させています。そのためシンプルでありながらも美しい空間に驚かされるでしょう。

このような建物は2015年から2021年までリノベーション工事が行われました。それを手がけたのは建築家のデイヴィッド・チッパーフィールドです。
リノベーションであるため建物そのもののスタイルが変わったわけではありませんが、現代建築の巨匠によって、新国立美術館が美しく蘇ったところも重要なポイントと言えるかもしれません。

新国立美術館 / Neue Nationalgalerie
アドレス: Potsdamer Straße 50, 10785 Berlin
入館料: 16ユーロ (毎週木曜16〜20時は入場無料)
開館時間:10〜18時 (10〜20時/木曜日)
休館日:月曜日
Web-Site: 新国立美術館
(2025年1月現在確認)
新国立美術館についてはこちらの記事で紹介しています。
ベルリン・ユダヤ博物館 / ダニエル・リベスキンド
ベルリンは1989年のドイツ再統一以降、再開発が行われており、新しい文化施設が計画され、多く現代建築が建てられています。
その中でも特に重要な建物はユダヤ文化とホロコーストの悲劇を伝えるベルリン・ユダヤ博物館です。建物を手がけたのはダニエル・リベスキンドです。
思想的な側面を強く押し出した建築が多く、コンセプチュアルな建築家と言えるかもしれません。そんな建築家の代表作がベルリン・ユダヤ博物館なのです。

博物館は2001年にベルリンの中心部に開館しています。建物は旧館と新館が組み合わされる形となっており、休館には裁判所として使われていた建物が利用されています。
新館は新規に建てられたものでジグザクな形の複雑な形状の建物となっています。敷地や外壁にも多くのパターンが刻み込まれているため、非常に異質な建物と言えるでしょう。

このような建物には体験的な空間が用意されています。その一つが屋外に作られた「亡命の庭」で、傾斜する地面には斜めに伸びる柱が聳えています。こうした空間で迫害に晒される不安定なユダヤ人の人々の気持ちを感じられるかもしれません。
また窓の無い背の高い空間に僅かな光が注ぎ込む「ホローコストの塔」も設置されています。ここでは僅かな希望しか見出せなかった当時のユダヤ人の心情を追体験できるでしょう。こうした体験は実際にこの場所でしか体験できないため、ぜひ訪れてみてください。

ベルリン・ユダヤ博物館 (Jewish Museum Berlin)
アドレス: Lindenstraße 9–14 10969, Berlin
開館時間: 10:00 – 18:00 (毎日)
休館日: ユダヤ人の祝日(ホームページで確認してください)
入場料: 常設展示は無料、企画展は有料
Web-Site: ベルリン・ユダヤ博物館
入り口で手荷物検査が行われるので注意してください。
(2025年1月確認)
ベルリン・ユダヤ博物館はこちらの記事で紹介しています。
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