ドイツには多くの第二次世界大戦を思い起こさせるものが残されています。ドイツ北部の都市ハンブルクには、空襲から身を守るための巨大な防空壕が建てられましたが、それは破壊されることなく今に残されています。
しかし、それは過去の歴史を伝えるものだけでなく、街に緑や新しい風景をもたらしているのです。今回紹介するのは、そんな特別なハンブルクの防空壕グリューナーブンカーを紹介したいと思います。

空襲対策で建てられた防空壕
ハンブルクは第二次世界大戦中、空襲に脅かされる街でした。なぜなら潜水艦の基地や石油産業の工場が街にあったからです。空襲に備えるためハンブルクには千基を越える防空壕が建てられたのでした。そのうちの一つが、今回紹介するグリューナーブンカーです。
防空壕は1000人もの強制労働者を利用して、1942年に建てられました。ハンブルクは空襲に晒されましたが、実際に2万人近くの人々を収容したこともあったそうです。そんな建物はその堅牢さから戦後も破壊されることなく残されました。そして改築を経て2024年に新しく複合施設としてオープンしたのです。

複合施設として生まれ変わった防空壕
複合施設に生まれ変わった防空壕ですが、そのシルエットは大きく変わっています。四角いシンプルな形だった建物には、屋上部分に新しい建物が載せられる形で増築されています。そこに植えられているのは多くの木々です。そのため重苦しいコンクリートの塊だった建物は、緑に覆われたモダンな建物に生まれ変わりました。
建物内部に入るのはホテルやレストランなどです。また屋上には木々が植えられた公園も設置されています。そのため商業施設としてだけでなく、多くの人々が気軽に訪れる都市の公園にもなっているのです。

都心に生まれた緑あふれる公園
グリューナーブンカーを遠くから眺めるとわかるのですが、建物の外壁には階段が取り付けられています。階段は場所によっては木々の植えられた小さな広場のようになっており、階段は屋上にある庭園に繋がる緑の通路と言えるかもしれません。
そんな階段を上ると、木々を通り抜けて屋上庭園を訪れることになります。防空壕は都市の中心部にあり、建物はコンクリートの塊です。しかし、ここでは緑のある公園を歩くような気分を楽しめ、自然を身近に感じられるでしょう。

防空壕だった過去を感じる場
階段を上っていくと、木々の隙間から防空壕の建物も直近に見ることができます。特に印象的なのは、巨大なコンクリートの庇です。それを見ると、コンクリートの壁の厚みを実感することができるでしょう。こうした無機質で重々しい防空壕に実際に上ってみると、建物の堅牢さを感じられるかもしれません。
グリューナーブンカーに訪れてみると、建物の本来の目的を理解できるでしょう。また防空壕という特殊な用途の建物を体験できます。そのため建築好きな人には必見です。

ハンブルクの素晴らしい眺望を楽しめる場所
個人的にグリューナーブンカーを訪れて感じたのは眺望の素晴らしさでした。階段は建物に巻き付く形であるため、360度の風景を楽しむことができます。防空壕の近くにはドイツのサッカーチーム、ザンクトパウリのスタジアムがありますが、それを見下ろすことができます。
また近くにはハンブルクのテレビ塔の近くに位置しており、それを背景にして記念撮影もできるでしょう。防空壕からは多くのハンブルクのランドマークを眺められ、素晴らしい風景を楽しむことができるのです。

ハンブルク観光で必見の場所
グリューナーブンカーですが、ハンブルクの暗い歴史を気付かせると同時に、そこから楽しめる眺望から、ハンブルクの街の美しさを楽しむことができるでしょう。このような素晴らしい体験を楽しめる場所ですが、屋上庭園は無料で訪れることができます。
また街の中心部にあり、駅も近くにあるため、交通アクセスは抜群です。そのためハンブルクの観光スポットでは一押しの場所です。ハンブルクに旅行するなら、ぜひグリューネブンカーを訪れてみてください。
グリューナーブンカー / Grüner Bunker
アドレス:Feldstraße 66, 20359 Hamburg
入場料:屋上庭園は無料
Website:グリューナーブンカー
(2025年1月確認)