バウハウスという名前を聞いたことはあるでしょうか。それはドイツでデザインや建築を教えていた教育施設の名前です。バウハウスは1919年にヴァイマールで設立され、デッサウに移転後、さらにベルリンへと移転して当地で1933年に閉校しました。15年に満たない活動期間にも関わらず、世界の建築やデザインに大きな影響を与えたのです。
今ではヴァイマール、デッサウ、ベルリンにあるバウハウス関連の建物は世界遺産に指定されており、世界中から多くの人が訪れる場所となっています。そして、そこにはバウハウスの資料を展示する博物館があるのです。今回はそのうちの一館でヴァイマールにあるバウハウスミュージアム・ヴァイマールについて紹介したいと思います。
二つの世界遺産を持つ都市ヴァイマール
バウハウスミュージアム・ヴァイマールが位置するのはドイツ東部のテューリンゲン州です。ヴァイマールはドイツ文化にとって重要な場所となっており、18世紀に文豪ゲーテが活動していたことで知られています。ゲーテ以外にも劇作家であるシラーが活動しており、ドイツ古典主義が花開いた街として「古典主義の都ヴァイマール」として世界遺産に登録されています。
バウハウス関連では「ヴァイマール、デッサウ及びベルナウのバウハウスとその関連遺産群」として登録されており、ヴァイマールは二つの異なる世界遺産がある街となっているのです。
バウハウス関連の資料、絵画、家具、デザイン用品の展示
バウハウスミュージアム・ヴァイマールですが、1995年に開館した小規模な展示施設でした。しかし2019年にバウハウス開校100周年を記念して、ヴァイマール中心部に移転しており、現在は広大な展示スペースを持つ博物館となっています。
展示されているのは、バウハウス関連の資料で、バウハウスの教育を紹介するものや、バウハウスで教鞭を握ったアーティストや建築家、そしてデザイナーの制作したものが展示されています。そのため資料だけでなく、家具やデザイン用品、そして絵画などを鑑賞することができるのです。
見所1:クレーやカンディンスキーの作品の展示
バウハウスミュージアム・ヴァイマールの見所の一つですが、バウハウスの教官だったアーティストたちの美術作品の展示です。シンプルで美しい抽象絵画を描いたパウル・クレーはバウハウスで1921年から1931年まで教官として講義を行っていました。そんなクレーの作品が幾つか展示されており、その美しい作品を楽しむことができます。
その他にも抽象絵画の先駆者であるワシリー・カンディンスキーが1922年から1933年まで教官としてバウハウスに勤めていました。カンディンスキーの作品も何点か展示されており、絵画好きな人には楽しめる展示となっています。
見所2:ミース・ファン・デル・ローエの展示
個人的に印象に残ったのは、バウハウスの3代目の校長であり、モダニズム建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエの展示でした。ミースの展示では彼が手がけた多くの家具が展示されています。
その中には彼の代表作とも言えるバロセロナチェアもあります。展示されている書机やサイドボードはとてもシンプルで、現代の家具と言われても気付かないようなモダンなものばかりです。そのためバウハウスの考えやデザインがいかに斬新なものであるか実感できるでしょう。
バウハウスを目当てにドイツを訪れるなら必見の博物館
バウハウスミュージアム・ヴァイマールですが、現在の建物に移転してから数年程度しか経っておらず、新しい博物館となっています。展示の内容は映像などを取り入れており、またバウハウス関連の家具の一部は実際に利用できます。そのため資料など文字だけを追うことにならず、楽しみながら展示を鑑賞できるでしょう。また展示されている家具や調度品なども、とても美しく展示されており、写真を撮りたくなるような素晴らしい空間になっています。
このような展示のため、バウハウスの考えを身近に感じられる素晴らしい場所となっています。バウハウスを目当てにドイツを訪れるなら必見の場所です。ぜひバウハウスの建物と共に合わせてこちらの博物館も訪れてみてください。
バウハウスミュージアム・ヴァイマール / Bauhaus Museum Weimar
アドレス : Stéphane-Hessel-Platz 1, 99423 Weimar
開館時間:9:30〜18:00
休館日:火曜日
入館料:10ユーロ
(2024年12月確認)
デッサウにあるバウハウスの博物館については、こちらの記事で紹介しています。
ヴァイマールにあるバウハウス関連の建物はこちらの記事で紹介しています。