ドレスデンと言えば、ドイツ東部を代表する観光都市です。ドレスデンにはツヴィンガー宮殿やアルテ・マイスター絵画館など魅力的な観光スポットがあります。またドレスデン周辺にはザクセンスイスなどの魅力的な観光地もあり、ドレスデンや周辺都市を訪れる人は多いでしょう。
そんなドレスデンや周辺都市を訪れる際に、多くの人が電車や路面電車、そしてバスなどの公共交通機関を利用することになるでしょう。ですがドイツの公共交通機関の料金や利用システムは日本とは大きく異なっています。そのため、どのように使っていいかわからず困惑する人もいると思います。
そこで、こちらの記事ではドレスデンの公共交通機関の使い方や、その料金体系について解説したいと思います。
- ドレスデンの公共交通機関の種類
- ゾーンについて
- ドレスデンの交通機関の路線図
- 切符の種類と価格
- Sバーン、ドイツ鉄道の乗り方
- バスの乗り方
- 駅には改札がないため必ず乗車券に打刻が必要
- 打刻しない場合は無賃乗車として罰金
- ドレスデン近郊観光スポットに必要な切符
- 切符の購入に役立つアプリ
ドレスデンの公共交通機関の種類
ドレスデンと周辺エリアには公共交通機関を運営する会社がいくつかあります。それを束ねている会社が Verkehrsverbund Oberelbe という組織でVVOと呼ばれています。VVOには各市町村で運営を行う交通機関が加盟しており、ドレスデンでバスやトラムを運営するDresdner Verkehrsbetriebe(通称DVB)やドイツ鉄道も加盟しています。
ドレスデンで公共交通機関を使う場合には、VVO、DVB、そしてドイツ鉄道を利用することになります。いずれの会社で購入した切符でも、ドレスデンや周辺エリアで下記の公共交通機関を利用することができます。
Sバーン(S-bahn)
都市近郊鉄道と呼ばれるもので、ドレスデンと周辺都市を結ぶ鉄道です。例えば、ドレスデンからマイセンやケーニッヒシュタインなど近郊の場所を訪れる際に利用することになるでしょう。
バス(Bus)
ドレスデン市内及び周辺市町村で運行されています。ドスデンでは目的地へと移動する際に利用することもあるでしょう。
路面電車/トラム(Tram)
ドレスデンは地下鉄がない代わりに路面電車のネットワークが発達しており、市内各所を訪れる際に利用することになるでしょう。市内の重要な観光スポットには路面電車の停留所があり、ドレスデン中央駅から移動することができます。
地域鉄道(Regionalzüge)
VVOの管轄エリアにはドレスデンから離れた場所もあります。そうした場所へ移動する際に利用することになるのが、ドイツ鉄道が運営するするRE(Regional-Express)や、RB(Regionalbahn)です。VVOや加盟会社の切符で、VVOの管轄エリア内のREやRBも利用できるので上手く活用すると良いでしょう。
ゾーンについて
ドイツと日本の公共交通機関で最も大きな違いとなるのが、「ゾーン」で考える料金体系です。これは便利ではあるのですが、慣れないと理解しにくいでしょう。
ドレスデンと周辺エリアでは、一つのエリアが一つの「ゾーン」となる
ドレスデンと周辺エリアでは、市町村が集まった一つのエリアを、一つの「ゾーン」として考えています(場所によっては一つ市町村が、一つの「ゾーン」なっているため注意してください)。その「ゾーン」内であれば料金は変わりません。ですが、隣のエリア(別のゾーン)へと移動する場合、「ゾーン」を2つ通過することになります。そうなると料金が変わるのです。
つまり「ゾーン」を使った料金体系では、通過する「ゾーン」が増えると移動する距離が増えると考えています。そして料金が変わることになるのです。
例えば、ドレスデンからマイセンに移動する際に合計3つの「ゾーン」を移動することになります。そのためドレスデンとマイセン間は3つの「ゾーン」を利用する切符を購入することになります。
切符を購入する場合に考えるのは、利用する交通機関でなく、利用する「ゾーン」の数
またドレスデンから、ケーニッヒシュタインの要塞を訪れる際に、3つの「ゾーン」を利用することになります。その際に利用するのはSバーンとバスです。異なる交通手段を利用しますが、重要なのは「ゾーン」で、幾つのゾーンを使うかで、購入する切符が決まるのです。この場合は3つの「ゾーン」を利用する切符です。いずれにせよ、「ゾーン」で値段が決まるので、慣れてしまえば、切符の購入も簡単になると思います。
ドレスデン市内を観光するのに必要なのは、1つの「ゾーン」を利用する切符
ドレスデン市内は一つのゾーンであるため、ドレスデン市内観光なら、1つの「ゾーン」を利用する切符を購入すれば大丈夫です。
ドレスデンの交通機関の路線図
DVBによるドレスデン市内の路線図(PDF)
VOOによるドレスデン近郊の路線図(PDF)
切符の種類と価格
- 通常チケット / Einzelfahrt
- 1日乗車券 / Tageskarte
- グループ1日乗車券/ Kleingruppenkarte
● 短距離利用 / Kurzstrecke
他の地域にある短距離で利用するKurzstreckeの切符ですが、ドレスデンと近郊都市では4枚綴りの切符で、4er-Karte für Kurzstreckenとして発売されて入ります。価格は7.5ユーロです。
●割引料金(こども料金)
15歳未満の学生は割引料金
●子供の無料の範囲
就学以前の子供は無料
通常チケット / Einzelfahrt
利用する「ゾーン」の数で切符を選択して購入します。ただし一つの「ゾーン」を利用する場合でも、ドレスデンとドレスデン市外では料金が異なります(ドレスデン市内は3.2ユーロ、市外は3ユーロ)。途中下車は可能で異なる交通機関へ乗り換えも可能です。ただし片道のみ利用可能で復路で利用することができません。なお各切符には利用制限時間があります。
Sバーン、バス、路面電車(トラム)、地域鉄道で利用可能です。
利用する「ゾーン」の数 | 利用可能時間 | 割引料金 | 一般価格 |
---|---|---|---|
1ゾーン(ドレスデン市外) | 1時間 | 2ユーロ | 3ユーロ |
1ゾーン(ドレスデン市内) | 1時間 | 2.1ユーロ | 3.2ユーロ |
2ゾーン | 1時間半 | 3.9ユーロ | 5.7ユーロ |
3ゾーン | 2時間 | 5.8ユーロ | 8.6ユーロ |
4ゾーン以上 | 2時間 | 7.8ユーロ | 11.4ユーロ |
1日乗車券 / Tageskarte
1日乗車券を購入すると、利用する数のゾーン内のSバーン、路面電車、バス、地域鉄道が乗り放題になります。利用期限は翌日朝4時までです。
Sバーン、バス、路面電車(トラム)、地域鉄道で利用可能です。
利用する「ゾーン」の数 | 割引料金 | 一般価格 |
---|---|---|
1ゾーン(ドレスデン市外) | 6.2ユーロ | 7.4ユーロ |
1ゾーン(ドレスデン市内) | 7.2ユーロ | 8.6ユーロ |
2ゾーン | 9.9ユーロ | 11.8ユーロ |
3ゾーン以上 | 16.1ユーロ | 19.3ユーロ |
グループ1日乗車券/ Kleingruppenkarte
1日乗車券を5人で利用できるグループ1日乗車券があります。1日乗車券同様、利用する数のゾーン内のSバーン、路面電車、バス、地域鉄道が乗り放題になります。利用期限は翌日朝4時までです。
利用人数は5人まで。
Sバーン、バス、路面電車(トラム)、地域鉄道で利用可能です。
利用する「ゾーン」の数 | 一般価格 |
---|---|
1ゾーン | 21.7ユーロ |
2ゾーン | 29.2ユーロ |
3ゾーン以上 | 40.3ユーロ |
駅には改札がないため必ず乗車券に打刻が必要
他のドイツの公共交通機関の多くと同様にドレスデンの鉄道(Sバーン、地域鉄道)では改札口がありません。切符を購入した場合、打刻機で切符に駅や使用時刻を入れる必要があります(アプリなどデジタルの場合は必要ありません)。
紙の切符の場合には打刻機を使うことで、そこから有効時間が決まります。また利用し始めた駅もそこで記録されます(アプリの場合や一部のチケットでは発券の段階で打刻されているものもあります)。
このように駅では改札がないため打刻を行わなくてはいけないのです。打刻用の機械は乗車券の販売機近くにあります。それに乗車券を入れて情報を記入させてください。
なおバスやトラムでも車内に打刻用の機械が備え付けられています。そのため車内で打刻することができます。
Sバーン、ドイツ鉄道の乗り方
改札がありませんが、乗車券があれば、そのまま乗ることができます。
駅構内にある券売機で乗車券が販売されています。ただし故障が多いためアプリでの購入した方が良いでしょう。
紙の乗車券を使う場合で、Sバーンやドイツ鉄道の列車の駅から利用を始める場合には、乗車券に打刻を行う必要があります。乗り換えの場合には打刻の必要はありません。
ドイツ鉄道では一般的に車内検札があります。Sバーンでは、不定期ですが検札スタッフが乗車券を確認にしています。
列車から降りる場合も改札はありません。そのまま出口に向かって大丈夫です。
バスの乗り方
バスの運転手側の入り口から入り、乗車券を見せる、もしくは乗車券を購入する形でバスに乗ります。
多くのバスでは設置されている券売機で乗車券を購入できます。ただし現金では購入できません。(なお主要なバス停には券売機が設置されています)
バスで乗車券の利用を始める場合では打刻をする必要があります。乗り換えでバスを利用する場合には、打刻の必要はありません。
下車する停留所が表示されたら、「Stop」のボタンを押して、バスが停留所に止まるようにします。
停留所では、どの出入口から降りても大丈夫です(ただし運転手側は入り口になるので、避けた方が良いでしょう)。
打刻しない場合は無賃乗車として罰金
たとえ切符を購入していても、打刻をしていない場合には無賃乗車とみなされます。なぜなら、どの駅から使い始めたか、いつから利用しているのかが記録されないためです。そうなると、利用している「ゾーン」の数がわからず、切符の利用開始時刻もわかりません。そのため、不正乗車をしていると考えられるからです。
もちろん、乗車券を持たない場合も不正乗車となります。
不正乗車の場合には、60ユーロ(2024年12月現在)の罰金を支払う必要があります。そのため、乗車券の打刻や、乗車券の紛失に気をつけてください。
ドレスデン近郊観光スポットに必要な切符
ドレスデン近郊には多くの有名な観光スポットがあります。こちらでは、その観光スポットを訪れる際に必要な切符とその価格を紹介します。
目的地 | 利用するゾーンの数 | 乗車券の価格 |
---|---|---|
マイセン | 3 | 8.6ユーロ |
モーリッツブルク | 2 | 5.7ユーロ |
ラーテン(ザクセンスイス) | 3 | 8.6ユーロ |
ケーニッヒシュタイン | 3 | 8.6ユーロ |
ラーデボイル(ヴァッカーバルト) | 2 | 5.7ユーロ |
切符の購入に役立つアプリ
切符を購入するとなると、券売機を探す、もしくは販売しているところを探すことになり、手間がかかります。そこでお勧めしたいのが、アプリの利用です。VVOでもDVBでも、ドレスデン及びドレスデン近郊で利用できる切符が購入できます。また移動方法や発着時刻も確認することができます。
ドレスデンの観光スポットについては、こちらの記事で紹介しています。
ドレスデン近郊の観光スポットは、こちらの記事で紹介しています。
ドレスデンをお得に観光できる観光用のチケットは、こちらの記事で紹介しています。