ドイツ旅行で人気のある目的地はミュンヘンでしょう。ミュンヘンは南ドイツにある都市で、歴史ある文化都市です。ミュンヘンにはドイツで最も重要な美術館の一つ、アルテ・ピナコテークがあります。またバイエルン王国の首都であったことから、多くの宮殿が残されています。
そんなことからミュンヘンを訪れる人は多いでしょう。しかし、ミュンヘンの街を訪れると、その公共交通機関の使い方に驚かされるはずです。と言うのも、日本とは大きな違いがあるからです。
こちらの記事では、そんなミュンヘンの公共交通機関について、特徴、そして切符の種類について紹介したいと思います。
ミュンヘンの公共交通機関の種類
- Sバーン(S-bahn)
- 地下鉄(U-bahn)
- バス(Bus)
- 路面電車/トラム(Tram)
- 地域鉄道(Regionalzüge)
ミュンヘンと周辺エリアの公共交通機関はMVG(Münchner Verkehrsgesellschaft)など幾つかの会社によって運営され、それはMVV(Münchner Verkehrs- und Tarifverbund)という会社によって束ねられています。
MVVが取りまとめるのはSバーン、地下鉄、バス、路面電車(トラム)。またMVVの切符は地域鉄道にも利用することができます。つまり、MVVで切符を買えば、Sバーン、地下鉄、バス、路面電車、地域鉄道のいずれも利用することができるのです。
Sバーン(S-bahn)
都市近郊鉄道と呼ばれるもので、ミュンヘン市内と周辺市町村など広域を繋ぐ鉄道です。郊外のエリアや周辺の町、そして空港などを訪れる際に利用することになるでしょう。
地下鉄(U-bahn)
ミュンヘンの市街地エリアを繋ぐ路線です。市内各所を結んでいるため、観光の際に利用する機会が多いでしょう。
バス(Bus)
バスは市内や市外の多くの箇所を繋いでいます。路面電車より小回りが効き、ピナコテークなど観光スポット近くに停車するバスの路線もあります。市内で目的地に1本で移動する際には便利かもしれません。
路面電車/トラム(Tram)
地下鉄と同じく市内の市街地エリアを繋ぐ路線です。市内中心部だけでなく郊外部分にも繋がれており、路面電車を使うことで多くの場所に行くことができるでしょう。
地域鉄道(Regionalzüge)
MVVの切符で利用できる運営エリアには、一部の地域鉄道の路線が含まれています。そのため、MVVのゾーン内のRE(Regional-Express)や、RB(Regionalbahn)を利用することができます。
MVVの全営業エリアを掲載したマップ(広域地図のためミュンヘン市内と路面電車は掲載されていません)
ゾーンについて
ドイツの公共交通機関の料金のシステムは日本と異なっており、日本のものに慣れていると戸惑うことが多いでしょう。ミュンヘンの交通機関の料金システムは基本的に「ゾーン」と呼ばれるエリアで考えることになります。
市内中心部はMというゾーンになっており、郊外部分は近くから遠くのエリアまで1から12のゾーンで区切られています。中心部に近い郊外エリアはゾーン1で、市内から最も離れたエリアはゾーン12となります。
ゾーンの考え方は空港を例にするとわかるかもしれません。ミュンヘンの空港は郊外にあり、そのゾーンは5に位置しています。つまり市内中心部のMゾーンから1、2、3、4のゾーンを経て、5のゾーンまで移動することになります。そのため切符はMから5ゾーンまで移動が可能なM-5を購入することになります。
なおミュンヘンの市内を観光するのであれば、市内中心部のゾーンMの切符を買えば、主要なミュンヘンの観光スポットを訪れることができます。
ミュンヘンの交通機関の路線図
ミュンヘンの公共交通機関の路線図ですが、下記のページからPDFデータをダウンロードすることができます。
上記以外のマップは、こちらのページで確認することができます。
切符の種類と価格
- 短距離利用 / Kurzstrecke
- 通常チケット / Einzelfahrt
- 1日乗車券 / Tageskarte
短距離利用 / Kurzstrecke
短距離の移動の際に使える割安な切符です。Sバーンと地下鉄は2駅まで利用可能です。トラムとバスは4駅まで利用可能です。一つの交通機関だけでなく乗り換えも可能です。
(ちなみにSバーン/地下鉄とバス/トラムという組み合わせの場合、Sバーン/地下鉄2駅とバス/トラム2駅という組み合わせが可能です)
Sバーン、地下鉄、バス、路面電車(トラム)、地域鉄道で利用可能です。
利用可能時間:1時間
大人 |
1.9 Euro |
通常チケット / Einzelfahrt
出発地と目的地が入るゾーンで切符を選択して購入します。途中下車は可能で異なる交通機関へ乗り換えもできます。ただし片道のみ可能で、復路で利用することができません。利用するゾーンによって利用制限時間が異なります。
Sバーン、地下鉄、バス、路面電車(トラム)、地域鉄道で利用可能です。
6〜14歳の子供は、ゾーンにかかわらず一律1.8ユーロです。
ゾーン(利用するゾーン) | 切符の価格 | 利用可能時間 |
M | 3.9 Euro | 2時間 |
M-1 (Mと1ゾーン内の利用) | 5.8 Euro | 3時間 |
M-2 (Mから2ゾーンまでの利用) | 7.7 Euro | 3時間 |
M-3 (Mから3ゾーンまでの利用) | 9.7 Euro | 3時間 |
M-4 (Mから4ゾーンまでの利用) | 11.6 Euro | 3時間 |
M-5 (Mから5ゾーンまでの利用) | 13.6 Euro | 5時間 |
M-6 (Mから6ゾーンまでの利用) | 15.4 Euro | 5時間 |
M-7 (Mから7ゾーンまでの利用) | 17.1 Euro | 5時間 |
M-8 (Mから8ゾーンまでの利用) | 18.8 Euro | 5時間 |
M-9 (Mから9ゾーンまでの利用) | 20.5 Euro | 5時間 |
M-10 (Mから10ゾーンまでの利用) | 22.2 Euro | 5時間 |
M-11 (Mから11ゾーンまでの利用) | 23.9 Euro | 5時間 |
M-12 (Mから12ゾーンまでの利用) | 25.5 Euro | 5時間 |
1日乗車券 / Tageskarte
1日乗車券を購入すると、利用するゾーン内のSバーン、Uバーン、路面電車、バス、地域鉄道が乗り放題になります。利用期限は翌日朝6時までです。なお券売機の紙の切符を買う場合には、使用開始時刻を打刻機で記入する必要があります。
Sバーン、地下鉄、バス、路面電車(トラム)、地域鉄道で利用可能です。
6〜14歳の子供は、ゾーンにかかわらず一律3.6ユーロです。
ゾーン(利用するゾーン) | 切符の価格 |
M | 9.2 Euro |
M-1 (Mと1ゾーン内の利用) | 10.5 Euro |
M-2 (Mから2ゾーン内の利用) | 11.5 Euro |
M-3 (Mから3ゾーン内の利用) | 12.7 Euro |
M-4 (Mから4ゾーン内の利用) | 14 Euro |
M-5 (Mから5ゾーン内の利用) | 15.5 Euro |
M-6 (Mから6ゾーン内の利用) | 16.8 Euro |
M-7 (Mから7ゾーン内の利用) | 18.5 Euro |
M-8 (Mから8ゾーン内の利用) | 20.2 Euro |
M-9 (Mから9ゾーン内の利用) | 22 Euro |
M-10 (Mから10ゾーン内の利用) | 23.8 Euro |
M-11 (Mから11ゾーン内の利用) | 25.5 Euro |
M-12 (Mから12ゾーン内の利用) | 27.3 Euro |
MVVの各チケットの価格についての一覧(郊外ゾーン内の移動についても表示されています)
駅には改札がないため必ず乗車券に打刻が必要
他のドイツの公共交通機関の多くと同様にミュンヘンの鉄道(地下鉄、Sバーン、地域鉄道)では改札口がありません。それではどのように電車を使うのか、戸惑う人も多いでしょう。チケット購入した場合、必ず打刻と呼ばれる乗車券に駅や使用時刻を入れなくてはいけません。
例えば、紙の切符の場合にはゾーンチケット/Einzelfahrt や短距離利用 / Kurzstreckeでは、打刻を入れて、そこから有効時間が決まるのです。また利用し始めた駅もそこで記録されるのです(アプリの場合や、一部のチケットでは購入時点から、発券の段階で打刻されているものもあります)。
このように駅では改札がない代わりに打刻を行わなくてはいけません。打刻用の機械は乗車券の販売機近くにあります。それに乗車券を入れて情報を記入させてください。
なおバスやトラムでも車内に打刻用の機械が備え付けられています。そのため車内で打刻することができます。
打刻しない場合は無賃乗車として罰金
- 不正乗車は60ユーロの罰金です
改札がないことから、不正乗車をできると思う人もいるかもしれません。ですが乗車券の検札を車内で頻繁に行われています。場合によって1日に2度、3度遭遇することもあるでしょう。
乗車券を持たない場合は不正乗車となり、60ユーロ(2024年7月現在)の罰金を支払う必要があります。乗車券があっても、打刻を行っていない場合も不正乗車とみなされて罰金を払うことになるため、打刻には気を付けてください。
ミュンヘン空港については、こちらの記事で紹介しています。
ミュンヘン と言えばオクトーバーフェストです。そんなオクトーバーフェストについては、こちらの記事で紹介しています。