ベルリンを訪れた場合には、おそらく公共の交通機関を使うことになるでしょう。ですが、改札口がなかったり、バスや地下鉄といった異なる乗り物に同じ乗車券で乗れるなど、驚くことが多いかもしれません。そのため旅行で訪れた際に戸惑うことにもなるでしょう。
今回は、そんなわかりにくいベルリンの公共機関の使い方について紹介します。
(情報は2025年1月現在の情報です)
2025年2月10日(月)に公共交通機関でストライキが予定されています。
- ベルリンの公共交通機関の種類
- 乗車券はゾーンで購入
- ベルリンの公共交通機関の路線図
- 乗車券の種類
- 空港から市内への移動
- 駅には改札がないため必ず乗車券に打刻が必要
- 打刻しない場合は無賃乗車として罰金
- Sバーン、地下鉄、ドイツ鉄道の乗り方
- バスの乗り方
- 路面電車の乗り方
- チケット購入はスマホアプリがお勧め
- 路面電車での乗車券の購入方法
- バスでの乗車券の購入方法
- ベルリンの公共交通機関で気を付けたいこと
ベルリン旅行に役立つ情報は、こちらの記事で紹介しています。
ベルリンの公共交通機関の種類
ベルリンの公共交通機関(BVG)
- 市バス(Bus)
- 地下鉄(U-bahn)
- 路面電車(Tram)
- フェリー(Fähr)
BVG以外の公共交通機関(BVGのチケットで使用可能)
- Sバーン(S-bahn)
- ドイツ鉄道の列車(Deutsche Bahn)/ ABCゾーン内のみ、高速列車を除く
ベルリンの公共交通機関はBVG(Berliner Verkehrsbetriebe)という会社によって運営されています。BVGは、地下鉄、市バス、路面電車(トラム)、そしてフェリーを運行しています。BVGのチケットは上記のものに加えて、Sバーンと呼ばれるベルリンとベルリン周辺を結ぶ電車やドイツ鉄道の列車(ABCゾーン)にも利用することができます。
フェリーは観光船などではなく、ごく一部の区間で渡し船のような役割を果たしているものなので、ご注意ください。
BVGで切符を買えば、市バス、地下鉄、路面電車、フェリー、Sバーン、ドイツ鉄道を利用でき、1日乗車券は区間内が乗り放題となります。






乗車券はゾーンで購入
- 市内の公共交通料金はゾーンで区切られる
- 中心部はAゾーン、郊外はBゾーン、隣街や空港はCゾーン
最も頭を悩ませるのは乗車券です。ドイツの多くの公共交通機関は「ゾーン」で料金を定めており、利用する際に困惑するでしょう。乗車券は出発地、目的地、そして通過する場所を含む「ゾーン」のチケットを買ってください。
ベルリン中心部がAゾーンとなっています(基本的にはベルリンの中心部を囲む環状線の内側がAゾーンです)。そして、環状線を囲む外周部分がBゾーンとなります。そしてさらに離れたエリア、例えば隣町のポツダムがCゾーンとなります。簡単に言えば、ベルリン市内Aゾーン、ベルリン郊外Bゾーン、ベルリン隣接の町がCゾーンです。
例えば、ベルリンの空港があるCゾーンから、市内中心部のAゾーンに行く場合は、Bゾーンを通ることになります。そのためチケットはABCゾーンを購入しなくてはいけません。
なお、ゾーン内のバス、地下鉄、路面電車、フェリー、Sバーン、ドイツ鉄道(高速列車を除く)はいずれも利用することができます。
ベルリンの公共交通機関の路線図

ベルリンのSバーン、地下鉄、路面電車、バス、フェリーの路線図は下記のリンクより、PDFデータをダウンロードすることができます。
ポツダムはCゾーン
ポツダムはベルリンのABCゾーンのCにあたります。そのためベルリンから出かける場合にはABCゾーンのチケットを購入すれば大丈夫です。
ベルリン・ブランデンブルク国際空港はCゾーン
「空港から市内への移動」でも説明していますが、ベルリン・ブランデンブルク国際空港はCゾーンとなります。空港から市内中心部へと向かう場合にABCゾーンのチケットを購入してください。
乗車券の種類

主な乗車券は3種類+自転車用のチケット
- 短距離利用 / Kurzstrecke
- 通常チケット / Einzelfahrschein
- 1日乗車券 / 24-Stunden-Karte
- 自転車持ち込みチケット / Fahrrad Ticket
乗車券の種類は幾つかありますが、主なものは下記の3種類です。短距離利用のKurzstreckeチケット、利用するゾーンで購入するEinzelfahrschein。そして1日乗車券として利用できる24-Stunden-Karteです。また自転車を持ち込む際には、そのためのチケットも購入しなくてはいけません。
短距離チケット/Kurzstreckeの価格
Kurzstreckeチケットは短距離乗車券のことです。地下鉄とSバーンでは3駅乗車可能です。路面電車とバスは6停留所が乗車可能です。ただし乗り物を変えて乗り継ぐことはできません。なお価格は2025年1月現在2.6ユーロです。
通常価格 | 割引価格(6〜14歳) |
2.6 Euro | 2.0 Euro |
ゾーンチケット/Einzelfahrscheinの価格
EinzelfahrscheinはABゾーンチケット、BCゾーンチケット、ABCゾーンチケットがあります。こちらは2時間有効です。ただし片道でしか利用できません。往復では利用できないので気を付けて下さい。ゾーン内で片道区間であれば、距離や駅数に制限はありません。価格はゾーンごとに異なり、2025年1月現在3.8〜4.7ユーロです。
ゾーン | 通常価格 | 割引価格(6〜14歳) |
AB | 3.8 Euro | 2.4 Euro |
BC | 4.3 Euro | 2.9 Euro |
ABC | 4.7 Euro | 3.4 Euro |
1日乗車券/24-Stunden-Karteの価格
24-Stunden-Karteは文字通り24時間利用できる1日乗車券です。打刻してから24時間利用できます。他の乗車券は制約が多く、乗車券を買うのも手間がかかるため、個人的には24-Stunden-Karteの購入をお勧めします。こちらの乗車券も価格はゾーンごとに異なり、2025年1月現在10.6〜12.3ユーロです。
ゾーン | 通常価格 | 割引価格(6〜14歳) |
AB | 10.6 Euro | 7.0 Euro |
BC | 11.2 Euro | 7.3 Euro |
ABC | 12.3 Euro | 7.5 Euro |
自転車用乗車券 / Fahrrad Ticket
ドイツの鉄道では多くの会社で自転車を持ち込むことができ、ベルリンでも例外ではありません。ただし持ち込む際には追加で自転車用の乗車券を買う必要があります。もちろん人間用の乗車券に加えて、自転車用の乗車券が必要であるため、両方の乗車券を購入するようにしてください。
チケットの種類 | 価格 |
短距離利用 | 1.8 Euro |
ABゾーン | 2.5 Euro |
BCゾーン | 2.8 Euro |
ABCゾーン | 3.2 Euro |
ABゾーン1日乗車券 | 5.7 Euro |
BCゾーン1日乗車券 | 6.1 Euro |
ABCゾーン1日乗車券 | 6.3 Euro |
BVG(Berliner Verkehrsbetriebe)によるチケットと料金の説明

空港から市内への移動
- ABCゾーンチケット/4.7ユーロ
ベルリンには「ベルリン・ブランデンブルク国際空港」があります。ベルリン・ブランデンブルク国際空港は郊外のCゾーンに位置しています。ベルリン中央駅や博物館島などの中心部はAゾーンに位置しています。そのため空港から市内中心部に移動するなら、AゾーンもCゾーンも利用できるABCゾーンの乗車券を購入してください。価格は4.7ユーロです。
空港から市内中心部に移動して、その後に観光などで多くの場所を移動するのであれば、ABCゾーンを利用できる1日乗車券を購入すると良いでしょう。ABCゾーンの1日乗車券の価格は12.3ユーロです。
ベルリン・ブランデンブルク国際空港からベルリン中央駅に向かう場合、下記の列車を利用することができます。いずれもABCゾーンチケットで利用することができます。
- Airport Express (FEX)
- RE8
- S9
(ベルリン中央駅には向かいませんが、他にもベルリン市内に向かう列車、RB24 Nord、RB32、S45があります。)
ベルリンの空港については、こちらの記事で紹介しています。

駅には改札がないため必ず乗車券に打刻が必要
ドイツの公共交通機関の多くは改札口がありません。そのため、どのように公共交通のバスや電車を使うのか、混乱する人も多いでしょう。乗車券を購入した場合、必ず打刻と呼ばれる乗車券に駅名や使用時刻を入れなくてはいけません。
例えば、ゾーンチケット/Einzelfahrscheinは打刻を入れてから2時間有効(ただし片道のみ)です。紙の乗車券を買う際には開始時刻が入っていません。そのため打刻で使用開始時刻を入れなくてはいけないのです。
そのため駅では改札がない代わりに打刻が必要なのです。打刻用の機械は乗車券の販売機近くにあります。それに乗車券を入れて情報を記入させてください。(アプリでの購入では、購入時に使用開始時刻が記録されます。そのため打刻は必要はりません)

打刻しない場合は無賃乗車として罰金
- 不正乗車は60ユーロの罰金です
改札がないため、不正乗車をできると思う人もいるでしょう。ですが乗車券の検札を車内で行われることがあります。場合によって1日に2度3度遭遇することもあるでしょう。
乗車券を持たない場合は不正乗車とみなされて、60ユーロ(2025年1月現在)の罰金を払うことになります。乗車券があっても、打刻を行っていない場合も不正乗車とみなされて罰金を払うことになります。
BVG(Berliner Verkehrsbetriebe)による罰金の説明
Sバーン、地下鉄、ドイツ鉄道の乗り方
日本と違って改札がありません。そのため乗車券さえあれば、そのまま乗ることができます。
乗車券は駅構内の券売機で販売されています。しかし故障が多いためアプリでの購入をお勧めします。
紙の乗車券を利用する場合、そして、Sバーン、地下鉄、ドイツ鉄道の列車の駅から利用を始める場合、打刻を行う必要があります。乗り換えの場合には打刻の必要はありません。
ドイツ鉄道では一般的に車内検札があります。Sバーンや地下鉄では、不定期ですが乗車券を確認するスタッフがいます。
列車から降りる場合も改札はありません。そのままで出口に向かって大丈夫です。
バスの乗り方
バスの利用ですが、日本では後払いのところが多いと思います。ですがベルリンでは異なります。基本的に事前に購入した乗車券、もしくはバスで乗車券を購入することになります(個人的にはアプリでの購入をお勧めします)。
バスの運転手側の入り口から入り、乗車券を見せる、もしくは乗車券を購入する形でバスに乗ります。
紙の乗車券を利用する場合、そしてバスで乗車券の利用を始める場合、打刻をする必要があります。乗り換えでバスを利用する場合には、打刻の必要はありません。
下車する停留所が表示されたら、「Stop」のボタンを押して、バスが停留所に止まるようにします。
停留所に停まったら、いずれの出入口から降りても大丈夫です(ただし運転手側は入り口になるので、避けた方が良いかもしれません)。
路面電車の乗り方
路面電車の利用の場合、どの出入口を利用しても大丈夫です。車内に券売機が設置されているため、乗車券を購入していない場合は、車内で購入できます(時間も手間もかかるので、アプリでの購入をお勧めします)。
車内に打刻機があるため、車内で乗車券を購入した場合には打刻をしてください。乗り換えで路面電車に乗った場合には必要ありません。
下車する停留所が表示されたら、「Stop」のボタンを押して、路面電車が停留所に止まるようにします。
停留所に停まったら、いずれの出入口から降りても大丈夫です。
チケット購入はスマホアプリがお勧め

乗車券は自動券売機があり、駅などで購入することができます。ただ券売機の故障が多く、利用できなかったり、お札を認識しないことが頻繁にあります。そしてチケットが購入できないかもしれません。そのためスマホアプリの活用をお勧めします。
アプリで購入する方が簡単で券売機の故障に悩まされることもありません。また路線図も掲載されているのでアプリが役に立つでしょう。
路面電車での乗車券の購入方法
路面電車で、チケットや打刻をどうするか迷うかもしれません。路面電車の車内には自動券売機も打刻用の機械も設置されています。
そのため路面電車内で乗車券を買うことができ、また乗車券を買うことで必要となる打刻も行うことができます。そのため運転手にお願いすることなく、簡単に乗車券の購入などができます。

バスでの乗車券の購入方法
バスで乗車券を購入する際は、運転手にお願いして購入することになります。そのため少し面倒かもしれません。打刻のための機械はバスの車内にあるので、乗車券を購入した後で行うことができます。
運転手に購入したい乗車券などを伝えることが難しい場合には、スマホアプリで乗車券を購入して、それを見せた方が簡単でしょう。

ベルリンの公共交通機関で気を付けたいこと
気をつけたいのは下記の項目です
- 遅延
- ストライキ
- スリ
- 工事
公共交通機関の遅延
遅延が多く発生するため、時間通りに来ることを期待しない方が良いです。一番気を付けたいのは、冬季のバスや路面電車の利用です。気温が氷点下まで下がっている状態で、遅延に遭遇すると体調を崩すことにもなります。個人的には屋外で長時間待つことにならないように、冬には地下鉄や鉄道で移動するようにしています(本数の少ない路線のバスは遅延が起きると、寒空の下で長時間待たされる可能性があります)。
多発するストライキ
またドイツでは頻繁にストライキが行われます。そのため公共交通機関のストライキで使えないこともあります。こうしたストライキの可能性も考えることをお勧めします。また下記のページではドイツのストライキ情報を簡単にまとめています。ストライキが心配な方は参考にしてください。
スリなどによる盗難
公共交通機関は多くの観光客が利用するため、スリによる盗難が多く発生しています。例えば、電車などで乗り降りの際に、人混みに紛れて財布などを盗むケースが多発しています。こうしたスリにも気をつけましょう。
ドイツの鉄道会社が警告するスリのテクニックをこちらの記事で紹介しています。
工事
残念なことにドイツ全体で公共交通機関の工事は非常に多いです。ベルリンも例外ではありません。主要な路線にもかかわらず、数週間工事によって不通になることも普通にあります。
一番困るのは夜間に行われる工事です。日中に使えた路線が夜間に工事によって不通となることが多く、ベルリンに住んでいる人間でも混乱します。しかも代替の交通手段の説明がわかりにくく、代替バスのバス停を暗闇の中で探すのは簡単ではありません。夜間にこうした状況に遭遇したら、タクシーを使うのが無難です。
ベルリンのバス、路面電車、地下鉄の不通や制限区間(Construction measures and traffic disruptionsに表示)

ベルリンには多くの素晴らしい観光スポットがあります。公共交通機関を活用して訪れましょう!
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