ハノーファーはドイツ中部の街で、交通の要所となっています。なぜならドイツの東西を結ぶ路線と、南北を結ぶ路線が交差する場所で、多くの人が乗り換えなどに利用する重要な都市なのです。
そんな街ですが、シュプレンゲル美術館や新市庁舎、そしてマッシュ湖などの見所があり、乗り換えに合わせて、ハノーファーに滞在したり、観光する人も少なくないでしょう。
ハノーファーで滞在や観光をするなら、利用することになるのが公共交通機関です。しかしドイツの公共交通機関は日本のものとは料金体系や使い方などが異なるため戸惑う人がいるかもしれません。
そこで、こちらの記事ではハノーファーの公共交通機関の種類、その使い方や、料金体系、そして乗車券の種類などを解説します。
ハノーファーの公共交通機関の利用方法を理解して、ハノーファーでの滞在にぜひ活用してください。
- ハノーファーの公共交通機関の運営会社
- ハノーファーの公共交通機関の種類
- ハノーファーの公共交通機関の乗車券のゾーン
- ハノーファーの公共交通機関の路線図
- 切符の種類と価格
- 市バス、シュタットバーン/路面電車、Sバーンの乗り方
- 気を付けなくてはいけないこと / 乗車券に打刻が必要
- ストライキに注意
- アプリで気軽に公共交通機関を活用
ハノーファーの公共交通機関の運営会社
ハノーファー市内の交通機関の運営会社
- üstra Hannoversche Verkehrsbetriebe AG(通称 ÜSTRA) / ウェストラ・ハノーファー市交通局株式会社
ハノーファー市で運行されている運営会社の異なるその他の交通機関
- Sバーンやドイツ鉄道
ハノーファー市と周辺地域の交通グループ
- Großraum-Verkehr Hannover (通称 GVH)/ ハノーファー広域交通グループ
ハノーファー市には公共交通機関を運営する会社ÜSTRAがあります。ÜSTRAはバスとシュタットバーン(路面電車)を運営しています。
それ以外にもSバーンやドイツ鉄道がハノーファー市内で公共交通機関として運行されています。
ÜSTRAや、運営会社の異なるSバーンやドイツ鉄道(ハノーファー市内)はハノーファー市周辺地域の公共交通機関が構成するハノーファー広域交通グループ(通称 GVH)に所属しています。そのため、ÜSTRAの乗車券を購入すれば、GVHに所属する交通機関が利用できるのです。
ハノーファーの公共交通機関の種類
ハノーファーの公共交通機関
- 市バス(Bus)
- シュタットバーン/路面電車(Stadtbahn)
- Sバーン(S-bahn)
- ドイツ鉄道の列車(Deutsche Bahn)/ 高速鉄道を除く
市バス(Bus)
バスは市内各所を結んでいます。そのため市内を移動する際に利用することになるでしょう。
シュタットバーン/路面電車(Stadtbahn)
ハノーファー市内の各所を繋ぐ路面電車です。そのため市内を移動する際に利用することになります。市内中心部では駅間が短く、目的地近くまで移動することができます。地下部分を走る路線もあり、地下鉄にも似ています。
Sバーン(S-bahn)
都市近郊鉄道と呼ばれるもので鉄道で、ハノーファーと周辺都市を結んでいます。駅間の距離が長く、短時間で長距離を移動することができます。
地域鉄道/ドイツ鉄道(Regionalzüge)
ドイツ鉄道による路線で、ハノーファーと遠方の都市を結んでいます。そのため周辺の町を訪れる際に利用することになるでしょう。RE(Regional-Express)や、RB(Regionalbahn)が運行されています。
ハノーファーの公共交通機関の乗車券のゾーン
- ハノーファー市内には3つのゾーン(A、B、C)
- 中心部はゾーンA、市内周縁分はゾーンB、郊外エリアはゾーンC
- 利用するゾーンを含む乗車券を購入する必要あり
最も頭を悩ませるのは乗車券でしょう。ドイツの多くの公共交通機関は「ゾーン」と呼ばれるエリアで料金を定めています。重要なのは、乗車券は出発地、目的地、そして通過する場所を含む「ゾーン」のチケットを買うことです。
ゾーン大都市の場合には、複数のゾーンで構成されています。ハノーファーは3つのゾーンで構成されています(中心部のA、中心周縁部のB、郊外エリアのC)。
例えば、中心部から郊外へと向かう場合には、Aが出発点となり、Bを通って、Cに辿り着きます。多くのゾーンを通過することになり、それは多くの距離を移動したことになります。そのため通過したゾーンの数で料金が決定されるのです。
なお、ゾーン内の市バス、シュタットバーン/路面電車、Sバーン、ドイツ鉄道(高速列車を除く)は、いずれも利用することができます。


ハノーファーの公共交通機関の路線図


ハノーファーの市バスの路線図(PDF)

ハノーファーのSバーン、ドイツ鉄道(RE、RB)の路線図(PDF)
切符の種類と価格
ハノーファーの公共交通機関の主な乗車券は下記のものになります。
- 短距離乗車券/Kurzstreckenkarte
- 片道乗車券 / Einzelkarte
- 回数券(6回分) / 6er-Einzelkarte
- 1日乗車券 / Tages Ticket
- グループ1日乗車券 / Tageskarte Gruppe
- 6×1日乗車券 / 6er-Tageskarte
短距離乗車券/Kurzstreckenkarte
市バスとシュタットバーン/路面電車での数駅の移動に利用できる乗車券です。
市バスは4停留所利用可能。
シュタットバーン/路面電車は2駅利用可能。
注:6歳未満の子供は無料です。
| 価格 | 利用有効時間 |
|---|---|
| 1.8 ユーロ | 30分 |
片道乗車券 / Einzelkarte
途中下車は可能で異なる公共交通機関へ乗り換えも可能です(例えば、市バスからシュタットバーン/路面電車へ)。ただし片道のみ利用可能で復路で利用することができません。
乗車券の価格は利用するゾーンの数で異なります。
ハノーファー市内のSバーン、シュタットバーン/路面電車、市バス、ドイツ鉄道で利用可能です。ただし利用時間が2時間以内になっています。
注:6歳未満の子供は無料です。
| 利用するゾーンの数 | 通常価格 | 割引価格(6〜14歳) |
| 1(Aもしくは、Bもしくは、C) | 3.6 Euro | 1.4 Euro |
| 2(ABもしくは、BC) | 4.5 Euro | 1.4 Euro |
| 3(ABC) | 5.5 Euro | 1.4 Euro |
回数券 / 6er-Einzelkarte
回数券は片道乗車券が6枚セットとなったものです。セットになっているため、個別に購入するよりもお得になっています。
回数券の価格は利用するゾーンの数で異なります。
ハノーファー市内のSバーン、シュタットバーン/路面電車、市バス、ドイツ鉄道で利用可能です。ただし利用時間が2時間以内になっています。
注1:6歳未満の子供は無料です。
注2:有効利用時間が2時間
| 利用するゾーンの数 | 通常価格 |
| 1(A、もしくはB、もしくはC) | 19 Euro |
| 2(AB、もしくはBC) | 23.7 Euro |
| 3(ABC) | 29.1 Euro |
1日乗車券 / Tages Ticket
1日乗車券を購入するとハノーファー市内の公共交通機関が乗り放題になります。翌日5時まで利用可能です。
ハノーファー市内のSバーン、シュタットバーン/路面電車、市バス、ドイツ鉄道で利用可能です。
注:6歳未満の子供は無料です。
| 利用するゾーンの数 | 通常価格 | 割引価格(6〜14歳) |
| 1(A、もしくはB、もしくはC) | 7.2 Euro | 2.8 Euro |
| 2(AB、もしくはBC) | 9.0 Euro | 2.8 Euro |
| 3(ABC) | 11.0 Euro | 2.8 Euro |
グループ1日乗車券 / Tageskarte Gruppe
5人までのグループで利用できる1日乗車券です。翌日5時まで利用可能です。
ハノーファー市内のSバーン、シュタットバーン/路面電車、市バス、ドイツ鉄道で利用可能です。
注:6歳未満の子供は無料です。
| 利用するゾーンの数 | 通常価格 |
| 1(A、もしくはB、もしくはC) | 13.1 Euro |
| 2(AB、もしくはBC) | 16.4 Euro |
| 3(ABC) | 19.7 Euro |
6×1日乗車券 / 6er-Tageskarte
1日乗車券が6枚セットとなったものです。セットになっているため、個別に購入するよりもお得になっています。
注:6歳未満の子供は無料です。
| 利用するゾーンの数 | 通常価格 |
| 1(A、もしくはB、もしくはC) | 33.9 Euro |
| 2(AB、もしくはBC) | 42.4 Euro |
| 3(ABC) | 52.0 Euro |
ÜSTRAの乗車券についての情報は、ÜSTRAのページに掲載されています。
市バス、シュタットバーン/路面電車、Sバーンの乗り方
市バスの乗り方
乗車
ドイツでは乗車する際に乗車券を購入する、もしくは乗車券を提示します。そのため運転手側のドアから乗車することになります。運転手から乗車券を購入できますが、あらかじめアプリで乗車券を購入することを強くお勧めします。
出入り口のドア付近に立たないことをお勧めします。ドアのセンサーが反応して閉じないことがあります。(一般的に黄色い線で立ってはいけないエリアが表示されています)
降車
降車の際は車内にある停車ボタンを押して、降車してください。一般的には車内にモニターがあり、次の停留所が表示されます。そこで停車ボタンを押して降車します。降車の際には運転手側でなく、他のドアから降車してください(乗車する人とぶつかってしまうからです)
打刻
バス車内(一般的に運転席の後方付近)には打刻機があるので、打刻していない場合は、車内で打刻することができます。
シュタットバーン/路面電車の乗り方
乗車
扱いはSバーンなどと同じで、一般的には運転手に乗車券を見せる必要はありません。
出入り口のドア上にドアの開閉ボタンがあります。それを押してドアを開けます。ドアのボタンを押さないとドアが開かないので、気をつけてください。
一般的にシュタットバーン/路面電車の車内に券売機が設置されています。車内で購入できる場合が多いですが、個人的にはアプリでの購入をお勧めします。
降車
降車する際には出入り口のドア上にドアの開閉ボタンを押してください。それを押してドアを開けます。ドアのボタンを押さないとドアが開かないので、気をつけてください。
Sバーンの乗り方
乗車
出入り口のドア上にドアの開閉ボタンがあります。それを押してドアを開けます。ドアのボタンを押さないとドアが開かないので、気をつけてください。
車内に券売機はありません。乗車券はアプリ、もしくは駅で購入してください。
また改札口もありません。
降車
降車する際には出入り口のドア上にドアの開閉ボタンを押してください。それを押してドアを開けます。ドアのボタンを押さないとドアが開かないので、気をつけてください。
気を付けなくてはいけないこと / 乗車券に打刻が必要
ドイツの鉄道(Sバーンやドイツ鉄道)には改札口が設置されていません。そのため乗車券を利用する場合、打刻機で利用を始める駅名や利用開始時刻を入れる必要があります(アプリなどデジタルの場合には必要ありません)。
打刻用の機械は一般的に券売機の近くに設置されています。シュタットバーン/路面電車や市バスの車内にも打刻用の機械が備え付けられています。そのため車内で打刻できます。
なおアプリの場合には、多くの乗車券は発券の段階で打刻されています(回数券などを除く)。
打刻しない場合は無賃乗車として罰金
乗車券を購入していても、打刻していない場合には無賃乗車とみなされます。打刻されていない場合、乗車した駅や乗車した時刻が記録されません。そのため利用しているゾーンの数もわからなくなり、利用状況に応じた乗車券を利用しているかどうか判断できないからです(公共交通機関では車内で検札を行うことがあります)。
もちろん乗車券を持たない場合も不正乗車となります。
不正乗車の場合、60ユーロ(2025年10月現在)の罰金を支払う必要があります。そのため乗車券の打刻忘や、乗車券の紛失に気をつけてください。
ÜSTRAのWebページに掲載されている不正乗車に対する対応
ストライキに注意
ドイツの公共交通機関は頻繁にストライキを結構しています。そのため突然ストライキにあって、スケジュールを変更する可能性もあるでしょう。ストライキの動向に気を付けてください。
ドイツのストライキは下記の通りです。何も表示されない場合、ストライキは予定されていません(右スクロールで情報を確認できます)
アプリで気軽に公共交通機関を活用
ドイツで公共交通機関を使う際に困るのは券売機が見つからないことや、券売機の故障です。それによって列車などに乗り遅れることもあるでしょう。そこでお勧めしたいのはÜSTRAのアプリの活用です。
それを使えば、出発地から目的地の移動方法や乗車券の種類を確認でき、そのまま購入することができます。
ハノーファーの観光スポットについては、こちらの記事で紹介しています。










