ドイツ中部にはハノーファーという大都市があります。ハノーファーは交通の要所として知られており、ドイツの南北を走る路線と、東西を走る路線が交差する場所となっています。そのため多くの列車がハノーファーで停車し、そこで乗り換えをする人は多いでしょう。
ですが、そのまま乗り換えて街を通り過ぎるのは少し勿体ないかもしれません。なぜならハノーファーの街には多くの見どころがあるからです。こちらの記事では、そんなハノーファーの見どころについて紹介したいと思います。
ヘレンハウゼン王宮庭園
ハノーファーで最も人気のある観光スポットと言えば、ヘレンハウゼン王宮庭園でしょう。それは4つの庭園から構成されており、現在では植物園、博物館の敷地、大学の敷地になっています。4庭園の中で特に有名なのが大庭園です。それは美しく整備されたバロック庭園となっており、その広さはおよそ50ヘクタール、東京ドームで10個分の広さを誇る場所なのです。

幾何学的に整備された庭園には木々が植えられており、多くの彫刻が配置されています。その規模と華やかな空間から当時の王侯貴族の暮らしを垣間見ることができると思います。また花などを植えたバラ庭園などもあり、美しい花々を楽しめる場所にもなっています。そのため自然を身近に感じることができ、ゆっくりとした時間を庭園の中で過ごすことができるでしょう。

庭園で感じられるのは中世の王侯貴族の暮らしだけではありません。現代の美術作品も楽しむことができるようになっています。庭園には、現代のアーティストであるニキ・ド・サンファルの作品も設置されています。鏡の破片を使ってモザイク状にして空間を覆い尽くした作品は圧巻の一言に尽きます。このようにヘレンハウゼン王宮庭園では、中世と現代の美を楽しめる場所になっているので、ぜひ訪れてみてください。

ヘレンハウゼン王宮庭園 / Herrenhäuser Gärten
アドレス:Herrenhäuser Str. 4, 30419, Hannover
開園時間:9〜16時(11月〜3月)、9〜18時30分(4、9月)、9〜19時30分(5〜8月)、9〜17時30分(10月)
入場料:10ユーロ(大庭園+ヘレンハウゼン王宮+ベルク庭園)注:11〜3月は8ユーロ
Web-site:ヘレンハウゼン王宮庭園
シュプレンゲル美術館
ハノーファーの中心部にマッシュ湖が広がっており、その湖畔にはシュプレンゲル美術館があります。ハノーファーに住む美術作品のコレクターからシャガール、ピカソ、クレーといった多数の作品の寄贈を受けて、美術館は1979年に誕生しました。現在では20世紀の美術作品や現代アートの作品を多数所蔵しており、ドイツでも屈指のコレクションを誇る美術館として知られています。

20世紀の美術作品には多くの素晴らしい作品が含まれています。20世紀初頭にドイツで活躍していた表現主義のグループ、ブリュッケのメンバーだったキルヒナーの作品、シュールレアリスムの活動で知られるマックス・エルンストの作品が展示されています。ドイツ以外のアーティストでは、静物画で知られるイタリア人アーティストのモランディ、また未来派のボッチョーニの作品も展示されており、充実したコレクションに驚かされるでしょう。

現代アートの作品では、光を使った作品で知られるジェームズ・タレルの大型の作品が展示されています。2026年には、さらにタレルの大規模なインスタレーション作品を設置する予定となっています。また2010年代、2020年代といった現在活躍するアーティストの作品を所蔵しており、現在の表現を感じられる場となっています。そのため現代アートファンには必見の美術館と言えるでしょう。

シュプレンゲル美術館 / Sprengel Museum Hannover
アドレス:Kurt-Schwitters-Platz, 30169 Hannover
入場料:14 / 6ユーロ(特別展によって異なる)
開館時間:10〜18時、10〜20時/火曜
休館日:月曜日
Web-site:シュプレンゲル美術館
(2025年10月確認)
マッシュ湖
ハノーファーの中心にはマッシュ湖と呼ばれる湖が広がり、市民の憩いの場となっています。湖は南北に1キロほどの長さがあり、その外周は6キロほどです。そんな湖は実は自然のものでなく20世紀に造られた人工湖なのです。第二次世界大戦前にハノーファーでは失業者への雇用を考え、そして治水対策もあわせて考えられ、マッシュ湖が造られたのです。

マッシュ湖の周辺には多くの観光スポットが集まっています。湖の湖畔にはドイツ屈指のコレクションを誇るシュプレンゲル美術館があります。その近くに建てられているのはハノーファーの新市庁舎です。またドイツのサッカーチーム、ハノーファー96が本拠地を構えるHeinz von Heidenアリーナもあります。このように多くの観光スポットが集まっており、また湖周辺には公園が広がり自然を身近に感じることができるため、ハノーファーを訪れるなら、必見の場所となっています。

毎年夏にマッシュ湖ではサマーフェスティバルが開催され、多くの人で賑わいます。フェスティバルはおよそ3週間開催され、湖周辺には世界各国のグルメを楽しめる屋台が立ち並びます。そんな屋台は夜には華やかなイルミネーションで彩られ、夏の夜を楽しませてくれるでしょう。
またフェスティバルでは多くのイベントが開催され、ステージでは多くの音楽バンドが登場し、会場の雰囲気を盛り上げてくれます。夏にハノーファーを訪れるなら、ぜひマッシュ湖でフェスティバルの雰囲気を楽しんでみましょう。
マッシュ湖 / Maschsee
アドレス:Arthur-Menge-Ufer, 30169 Hannover
Web-site:マッシュ湖、サマーフェスティバル
エギディエン教会
ハノーファーは日本と繋がりのある都市です。ハノーファーの街は広島市と姉妹提携を結んでおり、文化交流などが行われています。その象徴となっているのが、市内中心部にあるエギディエン教会です。教会の建物は1943年の連合国の空爆によって破壊されており、今も修復されることなく戦争の傷跡を残し続けているのです。そんな教会はハノーファーにある原爆ドームのような存在となっており、建物の廃墟には広島市から贈られた鐘を設置しているのです。

広島に原爆が投下された8月6日は、ハノーファーでは「広島の日」に指定されています。市内各所で平和を願うイベントが開催されるのですが、その中心的な役割を果たすのがエギディエン教会なのです。8月6日には市民が集まり追悼のイベントが開催されます。そして広島から贈られた鐘を鳴らして、戦争の悲劇を繰り返さないことを誓うのです。

エギディエン教会は戦争の悲劇を感じる場であり、そして日本との繋がりを感じさせる場所です。こうした場所を訪れることで、ドイツで起きた出来事を考えることができ、また平和の重要さを感じることができるでしょう。ハノーファーを訪れるのであれば、ぜひエギディエン教会を訪れて、平和について考えてみてはどうでしょうか。

エギディエン教会 / Ruine der Aegidienkirche
アドレス:Aegidienkirchhof 1, 30159 Hannover
Web-site:エギディエン教会
ハノーファーの新市庁舎
ハノーファーのシンボル的な建物と言えるのが新市庁舎です。建物が位置するのはマッシュ湖の近くで、近くにはシュプレンゲル美術館やHeinz von Heidenアリーナがあります。建物が建てられたのは20世紀の初頭で、10年以上の年月を費やして建てられています。圧倒的な大きさを誇り、床面積は8,700平方メートル、高さは100メートル近くあります。そんな新市庁舎の雄大な外観は強く印象に残るでしょう。

建物内部も外観同様に圧倒的で、内部には息を呑むような空間が広がっています。建物内に広がるホールは高さが40メートルもあります。窓から太陽の光が差し込み、大聖堂のような特別な空間を作り出しています。このような空間を体験するだけでも、新市庁舎を訪れる価値があるでしょう。

高さのある市庁舎の建物ですが、展望台が取り付けられており、そこから街の眺めを楽しめるようになっています。そんな展望台に向かうのは、屋根の形に合わせて動くエレベーターです。一般的なエレベーターは上下に動くものですが、こちらは上下だけでなく、ドーム屋根に沿って動くため、特殊な動き方をするのです。こうして展望台にたどり着くと、見えるのは圧倒的な眺めです。そんな眺めを楽しむためにも、ぜひ新市庁舎の建物を訪れてみてください

ハノーファーの新市庁舎 / Neues Rathaus Hannover
アドレス:Platz d. Menschenrechte 1, 30159 Hannover
開館時間:09:30 〜 17:30/ 月 〜 金曜、10:00 – 17:30/土日祝
入場料(展望台):4ユーロ
Web-site:ハノーファーの新市庁舎










