ドイツを旅行する場合、多くの人がドイツの公共交通機関を利用することになるでしょう。しかしドイツの公共交通機関は、料金体系や使い方などが様々な点で日本と異なるため驚く人もいると思います。
例えば、日本のように駅に改札があるわけではなく、また料金も距離ではなくゾーンと呼ばれる利用エリアで計算されるからです。
こちらの記事では、そんなドイツの公共交通機関について、料金体系や乗車券の種類、気を付けなくてはいけない点について説明します。
ドイツの公共交通機関の利用法を理解して、ドイツ旅行の際にフル活用してみましょう。
- ドイツの一般的な公共交通機関の種類(近距離)
- ドイツの一般的な公共交通機関の種類(遠距離)
- ドイツの公共交通機関の乗車券について
- ドイツの公共交通機関の料金体系について
- 公共交通機関のゾーンについて
- 一般的な乗車券の種類と価格
- 地下鉄、Sバーン、ドイツ鉄道の使い方
- バスの使い方
- 路面電車/トラムの使い方
- 駅には改札がなく、乗車券に打刻が必要
- 打刻しない場合は無賃乗車として罰金
- 乗車券の購入に役立つアプリ
- ストライキに注意
- 各都市の公共交通機関の解説
ドイツの一般的な公共機関の種類(近距離)
- Sバーン、地下鉄、市バス、路面電車、シュタットバーン、地域鉄道/ドイツ鉄道(大都市の場合)
- 地域鉄道/ドイツ鉄道の種類にはRBとRE
ドイツにある一般的な都市の公共交通機関にある交通手段、Sバーン、地下鉄、バス、路面電車、シュタットバーン、地域鉄道/ドイツ鉄道(RE、RB)です。大都市であれば、多くの交通機関が揃っていますが、小さな町であれば、バスだけの場所もあるでしょう。
ハンブルクやベルリンなど、都市の中に湖や河川がある場合、渡し船やフェリーも公共交通機関として使われています。
なお、これらの交通機関は運営会社が異なっていても、同地域の広域を束ねる交通連合に属しています(そのため、同一地域であれば、乗り換えをしても料金が発生することはありません)
市バス
大多数の都市にある基本的な公共交通機関です。

ベルリンのバス
地下鉄
ドイツで地下鉄があるの一部の大都市です。下記の5都市に地下鉄の路線があります。
- ベルリン
- フランクフルト
- ハンブルク
- ミュンヘン
- ニュルンベルク

ベルリンの地下鉄
路面電車
ドイツでは多くの都市に路面電車が路線があります。市内の移動に特に役立ちます。

シュタットバーン
シュタットバーンは、一般的に小型の鉄道です(ライトレールと呼ばれることもあります)。地下を走る路線もあります。また路面電車のような外観のものもあります。旧西ドイツ側の大都市で、地下鉄の代わりに使われているものが多いです。

ハノーファーのシュタットバーン (@ChristianSchd / Wikipedia )
Sバーン
近郊の都市を結ぶ鉄道です。特にケルンやデュッセルドルフ周辺では、多くの都市がSバーンで結ばれており、ICEやICなどの特急相当の列車を使わなくても、短時間で移動することができます。

ベルリンのSバーン
地域鉄道/ドイツ鉄道の種類
遠距離の都市を結ぶのはドイツ鉄道です。地域鉄道もドイツ鉄道と同様に都市を結んでいます。
RE(Regional Express)
近隣都市を結ぶドイツ鉄道の列車。停車駅は少なく、近隣都市へ移動できます。日本で言えば、快速や急行に相当します。
RB(Regionalbahn)
近隣都市を結ぶドイツ鉄道の列車。基本的に全ての停車駅に停車します。日本で言えば、普通に相当します。

ドイツ鉄道

地域鉄道(東ドイツ鉄道)
ドイツの一般的な公共交通機関の種類(遠距離)
ドイツ鉄道の遠距離の列車、日本の特急や新幹線に相当します。
- ドイツ鉄道(ICE、IC、ECなど)
ドイツ鉄道には都市間や別の国とを結ぶ遠距離の列車、ICE、IC、ECがあります。これらは日本の新幹線や特急に相当します。
ICE(InterCityExpress)
日本の新幹線に相当する列車です。主要都市を結んでおり、停車駅が少なくなっています。
IC(InterCity)
日本の特急に相当する列車です。主要都市を結んでいます。ICEに比べると停車駅が多くなっています。
EC(EuroCity)
日本の特急に相当する列車です。ヨーロッパ各国の都市間を結んでいます。

ドイツの公共交通機関の乗車券について
- エリアごとのグループに運営会社が所属しているため、各社ごとに料金を支払う必要はない(運営会社の所属先を確認の必要あり)
(ドイツ鉄道の遠距離を除く)
各都市の公共交通機関は運営会社が異なっても、エリアごとのグループに所属している場合がほとんどです。そのため各公共交通機関に料金を払うのでなく、一つの交通機関を通じてグループに支払う、つまり1枚の乗車券を購入すれば大丈夫です。
(例えば、Sバーンから地下鉄や路面電車に乗り換えても、1枚の乗車券で利用できます)
ベルリンを例にすると、ベルリンには交通機関を運営するBVGという会社があります。BVGは地下鉄、路面電車、バスを運営しています。BVGはベルリンや周辺地域の交通機関を束ねるVBBに属しています。そのためBVGの乗車券で、VBBに属するドイツ鉄道やSバーン、そして周辺市町村の公共交通機関も利用できます)
ドイツの公共交通機関の料金体系について
- 料金体系は基本的にゾーンで計算される
(ドイツ鉄道の遠距離を除く)
日本では駅から駅へと距離で料金を計算されることが多いと思います。一方で、ドイツの公共交通機関では、ゾーンで考えられている場合がほとんどです。
ゾーンとは一つのエリアのことで、一般的には1つの都市(エリア)が一つのゾーンとなります。
同じゾーンであれば、地下鉄で15分のところも30分のところも、乗り換えても料金は同じです。そのため料金の計算は非常に簡単です。
公共交通機関のゾーンについて
- 一般的にゾーンは一つの都市区分(市や町など)
- 大都市の場合には、中心部、郊外、隣街などのゾーン区分
- 利用したゾーン数で料金が異なる(一般的には)
- 同一市町村は基本的に均一料金(大都市を除く)
(ドイツ鉄道の遠距離を除く)
多くの都市の交通機関では、都市を一つのゾーンと考えて、複数のゾーンを通過した場合、そのゾーンの数で料金が計算されます。
例えば、小都市では都市全体が同一ゾーンとなり、均一料金となることが多いです。その場合、片道であれば、好きなルートで目的地に向かうことができます。また交通手段を乗り換えても料金は変わりません(ただし利用時間の制限があります)。
ベルリンのような大都市の場合、市内中心部のAゾーン、郊外エリアのBゾーン、周辺市町村のCゾーンに分かれており、料金は3種類しかありません。
ベルリンでは空港がCゾーンにあります。市内中心部はAゾーンになります。Cゾーンから市内中心部に行くにはBゾーンを通るため、ABCゾーンを使うことになり、ABCゾーン乗車券を購入することになります。

ベルリンのABCゾーン(ベルリンSバーンより)
一般的な乗車券の種類と価格
- 短距離乗車券/Kurzstrecke
- 片道乗車券 / Einzelfahrt
- 24時間乗車券 / 24StundenTicket (もしくは1日乗車券 / Tageskarte)
(ドイツ鉄道の遠距離を除く)
一般的に利用する機会が多い乗車券は、短距離乗車券/Kurzstrecke、片道乗車券 / Einzelfahrt、24時間乗車券 / 24StundenTicketの3種類でしょう。
短距離乗車券/Kurzstrecke
短距離乗車券/Kurzstrecke とは、数駅のみの移動の際に利用できる乗車券です(公共交通機関によって移動できる駅数は異なります。交通手段の乗り換えができない場合が多いです)
片道乗車券 / Einzelfahrt
片道乗車券 / Einzelfahrt は、ゾーンで計算する場合に利用する乗車券です。例えばベルリンの場合には、ABゾーン、BCゾーン、ABCゾーンの乗車券があります。制限時間を設けることが多く、片道で制限時間内であれば、利用ゾーン内で途中下車や乗り換えができます。
24時間乗車券 / 24StundenTicket (もしくは1日乗車券 / Tageskarte)
24時間乗車券 / 24StundenTicketや1日乗車券 / Tageskarte は24時間、もしくは翌日早朝まで利用できる乗車券です。24時間乗車券の場合、購入時刻(打刻時刻)によって利用終了時刻が変わります。
都市によっては週間乗車券 / WochenTicketや、回数券 / 4erTicket などの乗車券を販売しているところもあります。滞在期間や利用方法に応じて、お得になる乗車券があるため、その内容を確認すると良いでしょう。
一般的に6歳未満は無料
多くの公共交通機関では6歳未満は無料で利用することができます。
6歳から14歳は割引料金(一部の乗車券)
全ての乗車券ではありませんが、6歳から14歳までは割引で利用できます。
地下鉄、Sバーン、ドイツ鉄道の使い方
- 駅に改札がない
- 利用の際には打刻が必要(乗換の場合は不要)
- 多くの車両のドアの開閉はドア付近のボタン
ドイツの鉄道の駅には改札がありません。そのため多くの人が驚くと思います。しかし改札はなくとも、乗車券を確認する検札があるので、必ず乗車券を購入するようにしてください。
乗換えの際には不要ですが、出発駅を記録するために乗車券には打刻が必要です。出発駅では必ず打刻をしてください(打刻については、こちらで説明)
ドイツの鉄道の車両の多くは扉が自動的に開閉しません(寒冷地であるため)。そのため車両の乗り降りの際には、扉付近にある開閉ボタンを押してください。基本的には大きな丸型のボタンとなっています(停車時間が長い場合にはボタンを押してドアを閉めることもできます)。

バスの使い方
- 清算は乗車時(乗り換えで利用の際は、乗車時に乗車券を提示)
- 打刻はバス内に打刻機が設置されている場合が多い
ドイツの公共交通機関のバスは乗車時に、乗車券を購入するか乗車券を提示することになります。そのため乗車時は運転手側の入り口を使い、降車時はそれ以外の出入り口を使います。
バスで乗車券を購入した場合、バス内に打刻機があるので、それを探して乗車券を打刻してください(打刻についてはこちらで説明)。
降車の際には降車ボタンを押してください。
降車の際に運転手付近以外のドアは自動的に開閉しないことがあります。その場合にはドア上にある開閉ボタンを押してください。(バスの外側でドア付近に非常ボタンがある時があります。開閉ボタンは基本的にドア上にあります。間違えないように気をつけてください)

路面電車/トラムの使い方
- 券売機は車両内、もしくは主要停留所に設置
- 打刻はバス内に打刻機が設置されている場合が多い
- ドアの開閉はドア上のボタン(自動の場合もある)
多くの路面電車では、券売機が停留所か車内に券売機が設置されています。券売機が見当たらない場合には、アプリで乗車券を購入しましょう。
なお乗車券は運転手に見せる必要はありません(地下鉄やSバーンと同じ扱い)
路面電車で乗車券を購入した場合、車内に打刻機があるので、それを探して乗車券を打刻してください(打刻についてはこちらで説明)。
路面電車のドアの開閉はドア上にあるボタンで行う場合が多いです(寒冷地のため)。そのため車両に乗る際にドアが閉まっている場合には、ドア付近にあるボタンを探してください。なお非常ボタンもあるので注意してください。

駅には改札がなく、乗車券に打刻が必要
- 改札代わりに打刻が必要(デジタルチケット、ICE、IC、EC利用の場合は不要)
一般的に改札では利用した乗車券に利用データが記録されます。改札が無いドイツでは打刻はその代わりとなるもので、利用開始駅や利用開始時刻が乗車券に記入されます(ICE、IC、ECなどは乗車券に出発駅と到着駅が記入されているため不要)。
Sバーンやドイツ鉄道の駅には必ず打刻機があり、利用開始の時間と入場した駅が記録されます。バスや路面電車などは車内に打刻機が設定されています。そのため紙の乗車券を購入した場合には打刻する必要があるので、忘れずに行いましょう。
なお打刻用の機械は乗車券の販売機の近くにあります。大きい駅だと見つけにくいので、券売機周辺を探しましょう。

打刻しない場合は無賃乗車として罰金
切符を購入していても、打刻せずに公共交通機関を利用した場合、不正乗車とみなされます。乗車した駅や乗車した時刻が不明になるため、適切な利用かわからないからです。
乗車券を持たない場合は、もちろん不正乗車となります。
地下鉄や鉄道などの交通機関では、ランダムに検札を行っており、不正使用の有無を確認しています。
不正乗車発覚の場合、60ユーロの罰金を支払う必要があります。そのため乗車券の打刻忘れや乗車券の紛失には気を付けてください。
乗車券の購入に役立つアプリ
乗車券を販売する券売機は駅に設置されていますが、故障している場合が多いです。そのため乗車券を購入できない場合もあるでしょう。そこでお勧めしたいのが乗車券を購入できるスマホのアプリです。
多くの公共交通機関ではアプリが用意されています。アプリでは、乗車券の購入、路線図、乗換情報などが確認できるため便利です。
また一部の会社ではオンライン化を進めるために、アプリ上の乗車券を安く販売しています。
ストライキに注意
ドイツでは頻繁に公共交通機関でストライキが行われます。そのため旅行の際に、交通機関が利用できないこともあります。こうしたストライキは公式にアナウンスされるのが、ストライキの数日前の場合がほとんどです。
ドイツ旅行の際には、突然ストライキにあってスケジュールを変更する可能性もあるので、気を付けてください。
ドイツのストライキは下記の通りです。何も表示されない場合、ストライキは予定されていません(右スクロールで情報を確認できます)

各都市の公共公交通機関の解説
各都市の公共交通機関について紹介しています。










