ドイツと言えば、世界的に知られる都市が多くあります。オクトーバーフェストで知られるミュンヘン、大聖堂で知られるケルン、そしてベルリンの壁で知られるベルリンなどです。しかし忘れていけない重要な都市があります。それはドレスデンです。
ドレスデンはドイツ東部を代表する都市で、かつてあったザクセン王国の首都となっていました。そのため多くの宮殿などが建てられており、世界各国から多くの人々が訪れる街となっています。
そんなドレスデンには多くの観光スポットが多くあるため、どこを訪れるか迷うかもしれません。そこで、こちらの記事ではドレスデンで訪れておきたい観光地や観光スポットを紹介したいと思います。
ドレスデンのお勧めな観光地
ドレスデン観光の中心の場所、ツヴィンガー宮殿
ツヴィンガー宮殿はドイツにあるバロック建築の最高傑作と言われている建物です。ツヴィンガー宮殿は、当地を治めていたザクセン選帝侯であるアウグスト2世が、フランスやイタリアの壮大な宮殿に影響を受けて建てた宮殿です。
そんな宮殿が建てられたのは18世紀初頭のことでした。宮殿の近くにはドレスデン城があり、ドレスデン城やツヴィンガー宮殿を中心にして旧市街が広がっており、周辺には多くの重要な建物が建ち並んでいます。
宮殿は19世紀半ばに現在の形となりましたが、第二次世界大戦によって大きな被害を受けて廃墟となりました。戦後に多くの時間をかけて以前の姿に再建されています。現在そんな宮殿の中にあるのは、アルテマイスター絵画館、数学物理学サロン、陶磁器コレクションの3館の美術館です。
なかでもアルテマイスター絵画館は重要な場所で、ルネサンスの巨匠ラファエロの代表作、そして寡作で知られるフェルメールの作品が2作品も展示されています。
ツヴィンガー宮殿の見所は宮殿内の美術館ですが、それ以外にも見所はあります。それは宮殿のバルコニーや、そこから眺めることができる中庭です。バルコニーには多くの彫刻作品が設置されており、バロックスタイルの華麗な装飾を楽しむことができるでしょう。
ツヴィンガー宮殿の内部を訪れるには、美術館のチケットを購入しなくてはいけませんが、宮殿のバルコニーや中庭部分は無料で楽しむことができます。そのため宮殿内にある美術館を訪問しなくても楽しめる場所なので、ぜひ訪れてみてください。
ツヴィンガー宮殿 / Dresden Zwinger
アドレス: Sophienstraße, 01067 Dresden
開館時間 : 6〜20時 / 11〜3月
休館日 : 無休
入場料 : 屋外部分は無料、屋内の美術館は有料
Website: ツヴィンガー宮殿
世界に誇る宝飾品コレクション、緑の丸天井
ドレスデンの中心部には街の最古の建物の一つであるドレスデン城があります。それはドレスデンがあるザクセン地方を治める王や選帝侯の居城となっていました。
そんなドレスデン城に1723年に設けられたのが、美術館「緑の丸天井」です。これは丸天井の部屋にある柱が緑色に塗られていたことから、そう呼ばれています。
開設当初から一般に公開されていたため、世界最古の美術館の一つと言われています。王によって集めた様々な財宝を展示しており、それはヨーロッパ最大の宝石や工芸品のコレクションとしても知られています。
建物は第二次世界大戦によって大きく破壊されました。ですが現在では再建されており、2004年には現代版の新緑の丸天井がオープンしており、現在では新旧の緑の丸天井を楽しむことができるのです。
コレクションされているのは4000点にも及ぶ宝石、そして金や象牙などの工芸品。そんな緑の丸天井の見所は、ドレスデン・グリーンと呼ばれる緑色の41カラットのダイヤモンドです。41カラットというサイズもさることながら、天然のものでは珍しい鮮やかな緑色のダイヤなのです。
2019年に緑の丸天井でコレクションが盗まれる事件が発生しましたが、ドレスデン・グリーンは盗難を免れており、現在も鑑賞することができます。
緑の丸天井 / Grünes Gewölbe
アドレス: Residenzschloss Taschenberg 2, 01067 Dresden
開館時間 : 10〜18時
休館日 : 火曜日
入場料 : 14ユーロ
Website: 緑の丸天井
ドレスデン観光で必見の美術館、アルテ・マイスター絵画館
アルテ・マイスター絵画館はツヴィンガー宮殿の内部にある美術館です。ドイツでも屈指の美術館と知られており、素晴らしい絵画のコレクションを展示しています。ドレスデンは、かつてザクセン王国やザクセン選帝侯領の首都であり、文化の中心として栄えていました。
17世紀にドレスデンを治めたアウグスト2世は文化や芸術に力を注ぎ、ツヴィンガー宮殿を建てるだけでなく、多くの美術作品をコレクションしていました。19世期半ばに宮殿に展示施設が加えられ、コレクションされた多くの美術作品を展示する場となっているのです。
アルテ・マイスター絵画館にコレクションされているのは700を越える絵画作品です。それはルネサンスを中心とした15世期から18世期までの作品です。展示されているのは、ラファエロ、ティツィアーノ、ボッティチェリ、そしてジョルジョーネといったイタリア絵画を代表する巨匠たち。
それだけでなく、デューラー、クラナッハ、ヴァン・アイク、そしてフェルメールなど、ドイツ、オランダ絵画の巨匠の作品も並んでいるのです。美術史に名を残す巨匠たちの作品が並ぶアルテ・マイスター絵画館では、ドレスデンが重要な文化都市であることを実感することができるでしょう。
美術館の見所となるのはラフェエロとフェルメールの作品です。ラフェエロの代表作の一つである「システィーナの聖母」では聖母だけでなく、作品の端にエンジェルが描かれています。エンジェルの姿は多くの人に愛され、今ではエンジェルのイメージの代名詞となっているものなのです。
また寡作知られるフェルメールの作品が2作品あり、そのうちの一つは代表作の「窓辺で手紙を読む女」です。塗り潰されていたフェルメールが描いた背景が修復によって露わになったことで世界的なニュースになった作品でもあるのです。このように素晴らしい傑作をアルテ・マイスター絵画館で楽しむことができるため、ドレスデンで必見の場所と言えるでしょう。
アルテ・マイスター絵画館については、こちらの記事でも紹介しています。
アルテ・マイスター絵画館 / Gemäldegalerie Alte Meister
アドレス: Zwinger, Theaterplatz 1, 01067 Dresden
開館時間 : 10〜18時
休館日 : 月曜日
入場料 : 14ユーロ
Website: アルテ・マイスター絵画館
戦争の悲劇を今に伝えるドレスデンの聖母教会
ドレスデンの聖母教会はドレスデンでも最も有名な場所かもしれません。教会が位置するのはツヴィンガー宮殿やドレスデン城がある旧市街の中心部です。旧市街には現代的な建物は建てられておらず、古い建物が軒を連ねています。そこでは背の高い聖母教会の建物が一際目立つでしょう。
またドレスデンの街並みを紹介する際には、聖母教会を中心にした旧市街の風景の写真が多く使われます。そのため聖母教会はドレスデンのシンボルと言えるかもしれません。
ドレスデンの聖母教会は外観だけでなく、その歴史もとても重要です。ドレスデンの街は第二次世界大戦の最中である1945年に連合国によって激しい空襲を受けました。その時、街の8割が破壊されて廃墟となったのです。聖母教会も例外に漏れず空襲によって炎上して崩れ落ちました。
そんな聖母教会は戦後も再建されることなく、廃墟のまま街の中心に残されていたのです。再建されたのは21世紀に入ってからのこと。現在では以前のように旧市街の中心部に聳え、美しいドレスデンの街並みを形成しています。
ドレスデンの聖母教会の見所は、破棄された教会の瓦礫が再活用されていることです。再建の際に瓦礫となった石材の元の位置を調べて、その箇所に取り込んでいるのです。そのため白く美しい教会の外壁には黒い部分があります。それが廃墟から取り込まれた石材が使われた箇所なのです。
このように再建された聖母教会はドレスデンが焼け野原となった戦争の悲劇を今に伝えてくれるでしょう。そして同時に戦争から復興したドレスデンのシンボルともなっているのです。こうした聖母教会の歴史や、ドレスデンの街の歴史を感じるためにも、廃墟の素材が取り入れられている教会の外壁に注目して見ると良いでしょう。
ドレスデンの聖母教会は、こちらの記事でも紹介しています。
ドレスデンの聖母教会 / Frauenkirche Dresden
アドレス: Neumarkt, 01067 Dresden
入場料: 無料
開館時間: 10:00-11:30と13:00-17:30 / 月〜金、スケジュールにより異なる / 土日
Web-Site:ドレスデンの聖母教会
ドスデンの時代絵巻、君主たちの行列
ドレスデンの旧市街の中心部にはドレスデンを象徴するような観光スポットがあります。それは「君主たちの行列」と呼ばれる磁器タイルの壁画です。それがあるのはドレスデン城の近くの城壁。その上には100メートル近くの長さを持つ磁器タイルの壁画が描かれているのです。
そこでは旧市街の雰囲気を楽しめるだけでなく、ドレスデンの歴史を感じることができるでしょう。
壁画が作成されたには20世紀の初頭で、描かれているのはドレスデンのあるザクセン地方を治めていたヴェッティン家の王や選帝侯の人々。12世紀から20世紀までの35人の人物が壁画に描かれているのです。
その中にドレスデンをヨーロッパ随一の文化都市に導き、ヨーロッパで初めて磁器の製造を成功させたアウグスト2世を見つけることができるでしょう。このようにドレスデンの歴史上の人々を描いており、歴史絵巻を楽しむことができるのです。
君主たちの行列にはもう一つの重要な意味があります。それは壁画がマイセンの磁器タイルから作成されていることです。アウグスト2世はヨーロッパで初めて磁器製造に成功しましたが、それは現在マイセンとして世界的に知られているものなのです。そのためマイセンはドレスデンの芸術を象徴するものと言えるでしょう。
このように君主の行列はドレスデンの歴史を伝えるだけでなく、この街が持つ豊潤な文化を伝えるものでもあるのです。
君主たちの行列 / Fürstenzug
アドレス: Augustusstraße 1, 01067 Dresden
開館時間 : 常時
入場料 : 無し
Website: 君主たちの行列
美術ファン必見の場所、アルベルティヌム / ノイエ・マイスター絵画館
ドレスデンの美術館と言えば、アルテ・マイスター絵画館を思い出す人が多いでしょう。ですが、ドレスデンにはそれ以外にも素晴らしい美術館があります。それはアルベルティヌムです。
アルテ・マイスター絵画館では古典絵画の巨匠が展示される一方で、アルベルティヌムにあるノイエ・マイスター絵画館では近代から現代の巨匠の作品が展示されているのです。そのため、アルテ・マイスター絵画館とノイエ・マイスター絵画館を訪れることで、美術史の大部分をなぞることができるでしょう。
アルベルティヌムの建物が位置するのは旧市街の中心部で、フラウエン教会やツヴィンガー宮殿が集まるエルベ川沿いにあります。そのため他の観光スポットと合わせて訪れられるでしょう。美術館にコレクションされているのは、数多くの彫刻作品や19世紀以降の絵画作品です。
例えば、展示されているのはドイツロマン主義を代表するカスパー・ダーヴィト・フリードリヒの作品。そしてゴッホやゴーギャンといったフランス近代絵画の巨匠の作品も展示されています。その他にもドイツ表現主義で、ドレスデンで結成されたグループ「ブリュッケ」のエミール・ノルデやキルヒナーの作品も展示されており、ドレスデンの文化水準の高さを感じることができるでしょう。
アルベルティヌムにあるノイエ・マイスター絵画ギャラリーの見所となるのは、ゲルハルト・リヒターのコレクションです。リヒターは戦後のドイツ絵画を代表する巨匠ですが、ドレスデンに生まれ育っているのです。
こうした画家と街の繋がりから、多くのリヒターがコレクションされており、初期から現在までの作品を観賞することができます。そしてリヒターの作風の変遷を理解することができるでしょう。そのため現代アートファンに絶対訪れておきたい美術館と言えるかもしれません。
ノイエマイスター絵画ギャラリー、アルベルティヌム / Galerie Neue Meister, Albertinum
アドレス: Tzschirnerplatz 2, 01067 Dresden
開館時間 : 10〜18時
休館日 : 月曜日
入場料 : 12ユーロ
Website: ノイエマイスター絵画ギャラリー
ドレスデン近郊の見どころについては、こちらの記事で紹介しています。