フェルメールと言えば、17世紀に活躍した画家で、今では世界的に名前が知られています。日本で毎年のようにフェルメールの展覧会が開催されており、そこで名前を知った人も多いでしょう。
フェルメールは現在のオランダに生まれて活動しており、そこで亡くなっています。フェルメールは寡作で知られており、多くの作品は残されていませんが、それでもドイツにはフェールメールの作品を展示する美術館が4館もあります。
そこで、こちらの記事では、フェルメールの作品を展示するドイツの美術館を紹介したいと思います。
フェルメールを見ることができるドイツの美術館
ドイツには多くの素晴らしい美術館があります。そんな美術館の中でも特にお勧めの美術館をこちらの記事で紹介しています。
フェルメールとは
まず最初にフェルメールについて簡単に紹介したいと思います。17世期前半に現在のオランダの都市デルフトに生まれ、当地で活動し、1975年に40代半ばで亡くなりました。作品を多く制作しておらず、それほど長生きでないため、残されている作品は贋作を疑われる作品も含めて約40点ほどしかありません。作品は写実的に描かれた人物画が多く、様々な意味を持たせた寓意画と知られています。美しくもどこかミステリアスな作品は人々を惹きつけており、非常に人気のある画家なのです。
アルテ・マイスター絵画館(ドレスデン)
まず最初に紹介したい美術館は、ドイツ東部の街ドレスデンにあるアルテ・マイスター絵画館です。こちらにはフェルメールの作品が2点所蔵されています。アルテ・マイスター絵画館はドイツを代表する美術館の一つで、17世紀に当地を治めていた君主がその母体となるものを設立しました。その後、代々の君主が作品を収集して現在の美術館のコレクションを形成していきました。
展示されているのは16世紀から19世紀の絵画作品。その中にはフェルメールだけでなく、ルネサンスの巨匠ラファエロやジョルジョーネの代表作が含まれており、ドレスデンを訪れるなら見逃せない場所です。
「取り持ち女」と「窓辺で手紙を読む女」
所蔵されているのはフェメールの作品は最初期に描かれた「取り持ち女」。もう一つの作品はフェルメールの代表作の一つである「窓辺で手紙を読む女」です。
「窓辺で手紙を読む女」は、作品の背景に描かれていたキューピットが塗り潰されて見えなくなっていたことでも有名でしょう。そのキューピットですが、フェルメールが描いたものであると断定されたため修復が行われ、2021年に本来の姿に戻っています。作品の印象を大きく変える修復は世界的なニュースにもなり、「窓辺で手紙を読む女」は大きな注目を集めました。
アルテ・マイスター絵画館については、こちらの記事で紹介しています。
アルテ・マイスター絵画館 / Gemäldegalerie Alte Meister
アドレス: Zwinger Theaterplatz 1, 01067 Dresden
開館時間 : 10〜18時
休館日 : 月曜日
入場料 : 14ユーロ
Website : アルテ・マイスター絵画館
(2024年7月確認)
絵画館(ベルリン)
ドイツの首都ベルリンにもフェルメールの作品が2点展示されています。展示を行うのは絵画館です。絵画館の原型は博物館島を構成する旧博物館で設立されました。美術館のコレクションは、第二次世界大戦後のソ連の略奪、そしてドイツ東西の美術館での分割展示を経て、今ではポツダム広場近くの建物に展示されています。
そのコレクションは13世期から18世紀の作品から構成されており、レンブラントやブリューゲルの代表作が含まれています。ベルリンといえば、博物館島の美術館ばかりが注目されていますが、実は絵画館も非常に重要な美術館なのです。
「真珠の首飾り」と「紳士とワインを飲む女」
ベルリンの絵画館で展示されているのは「真珠の首飾り」と「紳士とワインを飲む女」の2作品です。共にフェルメールの作品でよく見られる構図の、窓がある室内にいる人物を描いています。
「紳士とワインを飲む女」では、光が差し込む部屋の中で男女がお酒を飲む様子が描かれており、そこには壁に掛けられた絵画や、ステンドグラスなど多くのものが描き込まれ、寓意画を描くフェルメールらしい作品になっています。展示されている2作品はよく似た構図であるため、見比べて鑑賞するとフェルメールの作品をより深く理解できるかもしれません。
絵画館については、こちらの記事で紹介しています。
絵画館 / Gemäldegalerie
アドレス: Matthäikirchplatz 10785 Berlin
開館時間 : 10〜18時
休館日 : 月曜日
入場料 : 12ユーロ
Website : 絵画館
(2024年7月確認)
アントン・ウルリッヒ公爵美術館(ブラウンシュヴァイク)
ドイツでフェルメールを展示する美術館でおそらく最も知名度が低いのは、ドイツ中部の街ブラウンシュヴァイクのアントン・ウルリッヒ公爵美術館でしょう。そもそもブラウンシュヴァイクは世界的に知られている街でもなければ、観光地でもありません。
美術館は当地を治めていた君主が設立したもの。美術館はドイツで最初に市民に開かれた美術館の一つとしても知られています。決して大規模な美術館ではないのですが、フェルメールの作品を1点所蔵しています。
それだけでなくイタリア・ルネサンスの重要人物であるジョルジョーネの作品や、レンブラントの作品も所蔵しており、フェルメール以外の作品も楽しむことができるでしょう。
「ワイングラスを持つ娘」
アントン・ウルリッヒ公爵美術館に展示されているのは「ワイングラスを持つ娘」です。こちらの作品は、フェルメールの作品に典型的な画面左側に窓のある部屋と、そこにいる人物たちを描いた作品です。
こちらはベルリンの絵画館にある作品「紳士とワインを飲む女」とよく似た構図になっています。部屋には絵画が掛けられ、窓にはステンドグラスが嵌め込まれています。そして女性が持つのはワイングラス。大きな違いはそこに二人の男性が描かれていることです。こちらの作品はベルリンの作品を見比べると面白いので、合わせて見ておくと良いでしょう。
アントン・ウルリッヒ公爵美術館 / Herzog Anton Ulrich-Museum
アドレス: Museumstraße 1, 38100 Braunschweig
開館時間 : 11〜18時
休館日 : 月曜日
入場料 : 9ユーロ
Website : アントン・ウルリッヒ公爵美術館
(2024年7月確認)
シュテーデル美術館(フランクフルト・アム・マイン)
フランクフルト(アム・マイン)にあるシュテーデル美術館にもフェルメールの作品が1点所蔵されています。シュテーデル美術館は銀行家のコレクションが母体となって19世期初頭に設立されました。他の美術館とは異なり、14世紀以降の美術作品だけでなく20世期や21世紀といった現代の美術作品も展示されています。
コレクションにはボッティチェリやベルリーニといったルネサンスの巨匠から、モネやルノワールといった印象者の画家の作品があり、時代やスタイルの異なる様々な美術作品を楽しむことができるでしょう。
「地理学者」
シュテーデル美術館で展示されているのは、フェルメールの代表作の一つ「地理学者」です。窓から差し込む光の中で、男性が何やら図を書いている様子が描かれています。光のコントラストがドラマティックな光景を生み出し、とても印象的な作品になっています。
こちらの作品は、ルーブル美術館「天文学者」と同じような構図となっており、連作とも言われています。共にフェルメールの代表作品であるため、ルーブル美術館の作品と共に、シュテーデル美術館も合わせて見ておきたいところです。
シュテーデル美術館 / Städel Museum
アドレス: Schaumainkai 63, 60596 Frankfurt am Main
開館時間 : 10〜18時, 10〜21時/木曜
休館日 : 月曜日
入場料 : 16ユーロ(企画展により異なる)
Website : シュテーデル美術館
(2024年7月確認)