ドイツには日本のJRにあたる鉄道があります。それはドイツ鉄道と呼ばれるものでドイツ全土に鉄道網を持っています。そんなドイツ鉄道ですが、日本のJRと異なることが幾つかあります。
例えば、改札が存在しないこと、そして1等席や2等席の存在などです。そのため、ドイツ旅行でドイツ鉄道を利用する際に、日本の鉄道と異なることに戸惑うこともあるでしょう。
そこで、こちらの記事では、このようなドイツ鉄道を利用する際に覚えておきたい、日本とドイツの鉄道の違いについて紹介したいと思います。
目次
ドイツ鉄道の列車の種類
長距離交通(ICE、IC、ECなど)
- ICE(Intercity-Express)日本の新幹線に相当
- IC(Intercity)日本の特急に相当
- EC(EuroCity)日本の特急に相当
日本の新幹線にあたるのがIntercity Expressで通称ICEと呼ばれています。特急に相当するのはICと呼ばれるIntercityと、ECと呼ばれる EuroCityです。これらは長距離交通(Fernverkehr)と呼ばれており、近距離を繋ぐ近距離交通(Nahverkehr)とは異なる取り扱いになっています。
ICEについては、こちらのページで紹介しています。
近距離交通(RB、RE、Sバーン)
- RB(Regionalbahn)日本の普通に相当
- RE(RegionalExpress)日本の快速に相当
- Sバーン(S-Bahn)市内や近距離を結ぶ鉄道
日本の普通列車にあたるのが、RBと呼ばれるRegionalbahnです。また快速扱いとなるのが、主要駅に停車するREと呼ばれるRegionalExpressです。その他にもSバーンと呼ばれる都市内や近距離の都市間を結ぶ鉄道もあります。近距離交通はNahverkehrと呼ばれ、長距離交通とは異なる取り扱いになっています。
改札と車内での切符の購入
長距離交通(ICE、IC、ECなど)
- 発車後10分以内であればアプリでのみ購入可能
ドイツ鉄道には改札がありません。それはICEやICなど日本の新幹線や特急に相当する列車でも同様です。もちろん車内で検札があり、切符の有無が確認されます。車内での切符の購入は、ICE、IC、ECの場合は購入ができなくなりました。スマホアプリで発車後10分以内に限り、切符を購入することが可能です。切符無しでの乗車は最低60ユーロの罰金となるため気を付けてください。
ドイツ鉄道公式ページに掲載されている車内でのチケットの購入について
近距離交通(RB、RE、Sバーン)
- 車内での購入は可能(ただし要注意)
近距離交通の場合にも改札はありません。なお切符の購入は車内でできる場合もあります(例えば、無人駅の券売機の故障など)。ただしドイツ語でのコミュニケーションが必要となるため、個人的にはオンラインやアプリでの切符の事前購入を強くお勧めします。
ドイツ 鉄道の一等席と二等席の区分
長距離交通(ICE、IC、ECなど)
ドイツ鉄道には一等席と二等席という区分があります。一等席の料金は割高となり、特別なサービスを受けることができます。例えば、主要駅にあるDBラウンジ(DB Lounge)を利用でき、無料でインターネットを使え、無料の飲み物を飲むこともできます。ICEやICの車両にある一等席は座席幅も広く、リラックスして旅行を楽しむことができるでしょう。
近距離交通(RB、RE、Sバーン)
日本の普通や快速列車に相当するREやRBにも一等席が用意されていることもあります。一等席には車両の外側や車両内の壁に「1」という数字が書かれています。一等席の切符を購入している場合にはREやRBでも利用できます。
ドイツ鉄道の子供料金
- 5歳以下は無料
- 15歳以上の同伴者がいれば、6歳から14歳まで無料
- 6歳から14歳の一人旅は、一般料金の半額
子供が5歳以下であれば、無料で利用できます。例外もありますが、6歳から14歳までの場合、15歳以上の同伴者がいれば無料で利用できます。6歳から14歳の子供が一人で利用する場合、半額となります(ただし、一般の切符に付随するCity-Ticketについては、異なる場合もあります)。
ペットの持ち込み
- 移動用のケージで運べば無料(猫や小型犬の場合)
- 大型犬は通常料金の半額
- ケージに入れない場合は、リードと口輪が必要
小型のペットや小さな犬や猫の場合、移動用のケージに入れて運ぶことは無料となっています。大型犬は通常のチケットの半額を支払う必要があります。移動用のケージに入れずに犬を運ぶ場合には、リードと口輪が必要になります。なお盲導犬や補助犬は口輪をつける必要はなく、無料で鉄道を利用することができます。
ドイツ鉄道公式ページでの車内へのペットの持ち込みについての説明
車両内のトイレ
長距離交通(ICE、IC、ECなど)
- 数も多く、基本的に問題なし
ドイツ鉄道長距離交通(ICE、IC、EC)にはトイレがあります。トイレの数も充実しています。よほどのことがない限り、車内でのトイレの使用に問題はないでしょう。
近距離交通(RB、RE、Sバーン)
- 路線によってはある(路線が長い場合など)
- 数が少なく、少ないトイレの全てが故障する場合もある
近距離交通(RB、RE、Sバーン)では必ずトイレがあると限りません。またトイレの数も少ないです。場合によっては列車に1個しかなく、そのトイレが故障しているケースもあります。そのため基本的に駅でトイレを利用する、また列車の乗り換えがあるなら、乗り換え前に利用できるトイレを利用しておくと良いでしょう。
車両内でのインターネットの使用
長距離交通(ICE、IC、ECなど)
- ICEには設置されている
- ICは設置されているものもある
ICEには車両にWifiが設置されており、無料で使用できます。ICは車両に設置されている場合、無料で利用できます。
近距離交通(RB、RE、Sバーン)
- 路線によって設置されている
- 州によって設置されている
普通や快速列車に相当するREやRBですが、州によっては無料でWifi経由のインターネットが使える場合があります。ザクセン州やザクセン・アンハルト州、チューリンゲン州などで利用可能となっています。
また一部の路線、Elbe-Saale-Bahn、Expresskreuz Bremen、SバーンRhein-Main、S-Bahnシュトゥットガルトでも利用できます。ただし利用者が多い場合、インターネットポータルにログインできず、利用できないことが頻繁にあります。そのためあまり期待しない方が良いでしょう。
ドイツ鉄道の遅延問題
長距離交通(ICE、IC、ECなど)
- 約3割が15分以上の遅延
定時到着率が公開されています。到着予定時刻から15分未満の定時到着率は、最近計測されるようになり、平均でおよそ70パーセントを記録しています。そのため長距離の車両であるICEやICなど約3割が15分以上の遅延する計算になります。
近距離交通(RB、RE、Sバーン)
- 記録上では1割前後が5分以上の遅延
近距離交通やSバーンは5分以内の定時到着率はここ数年90パーセントです。ただしSバーンのように本数が多く、距離が短い車両の運行が定時到着率を押し上げている可能性があります。あくまでも個人的な印象ですが、REやRBでも2割程度は遅延している印象があります。
ドイツ鉄道のストライキ
- 交渉がまとまらない場合ストライキが連発される
- ストライキの公式スケジュールは数日〜1週間前に公開されるのがほとんど
ここ数年ドイツ鉄道ではストライキが繰り返されています。組合との交渉がまとまらない場合には、ストライキが定期的にくり返され、鉄道での移動に深刻な影響を与えています。
またドイツのストライキは1週間から数日前に公式に日程が発表されることが多く、旅行の際に避けられないこともあります。そのためドイツを旅行する場合にはストライキ情報を常にチェックしておいた方が良いでしょう。
下記のページではドイツのストライキ情報を紹介しています。
ドイツ旅行するなら、いくつか気を付けたいポイントがあります。こちらの記事では、そんなポイントについて紹介しています。