ベルリンの中心部には世界遺産にも指定されている博物館島と呼ばれる博物館や美術館が集まるエリアがあります。そこには博物館や美術館だけでなくベルリン大聖堂もあり、多くの見所が集まるエリアと言えるでしょう。そんな場所に新しい見所が加わりました。
それは再建された宮殿、ベルリン王宮です。王宮は複数の博物館が集まる施設で、フンボルトフォーラムと呼ばれています。今回はそのようなフンボルトフォーラムについて紹介したいと思います。
2020年に新しい文化施設としてオープンしたベルリン王宮
フンボルトフォーラムは2020年にオープンした新しい文化施設です。新しく建てられたものですが、歴史的な背景があるため、その歴史を紹介したいと思います。そもそもフンボルトフォーラムの敷地にはプロイセン王国やドイツ帝国の居城となるベルリン王宮がありました。
国王や皇帝が廃された後も建物は取り壊されることなく博物館として利用されていました。しかし第二次世界大戦によって著しく破壊されて廃墟となってしまいます。最終的には東ドイツ政府によって建物は撤去され、そこには人民議会が入る共和国宮殿が建てられたのでした。
歴史的な中心地に建つベルリン王宮
1989年にベルリンの壁は崩れてドイツは再統一しました。それによってベルリンには様々な変化が起こりました。そのうちの一つが共和国宮殿にも起こることになります。役割を失った共和国宮殿は利用されることなく撤去されました。そして跡地にベルリン王宮が再建されることになったのです。
ただし、ただ再建されるのではなく、その建物は「フンボルトフォーラム」と名付けられ、新たな役割を果たすことになります。そんな建物はベルリンの中心部で、様々な文化を紹介する場所となったのです。
展示の中核となるアジア美術と民族美術
フンボルトフォーラムは一つの建物ですが、複数の施設が同居する場所となっています。その中でも中核となるのが、数年前まで郊外にあった民族博物館とアジア美術館です。共に非常に素晴らしいコレクションがあったのですが、市内中心部から1時間ほど離れており、訪れることは簡単ではありませんでした。
しかし今では市内中心部に位置することになります。そのため博物館島の美術館や博物館が紹介するエジプト美術やギリシア美術、そしてビザンチン美術など共に、フンボルトフォーラムが紹介するアジア美術や民族美術も楽しめるようになったのです。
展示のハイライトとなるオセアニアやアフリカの民族美術
民族美術館のコレクションは充実しており、オセアニアやアフリカの民族美術がそのハイライトと言えるでしょう。アフリカの民族美術は、ヨーロッパの美術とは違う目に見えない呪術的な力を感じさせるものなどが展示されています。
他に目に付くのは2階建て建物程度の高さがあるパプアニューギニアの船。こうした展示は迫力があり、見ていても飽きることはありません。これ以外にもお祭りの場で使われていた仮面などがあり、充実した展示を楽しむことができるでしょう。
充実したアジア美術のコレクション
アジア美術館の展示ですが、インド、中国、そして日本の展示が非常に見応えがあります。特に仏像を通じて、仏教が西から東へと伝播する間に変化した様子を見て取ることができます。中国の展示では皇帝の玉座から石窟寺院の壁画まであり、素晴らしいコレクションに目を奪われるでしょう。
日本の展示では実際の茶室が設けられており、茶道具の展示もあります。中には素晴らしい金継ぎをした器もあり、ここがベルリンであることを忘れてしまうかもしれません。
素晴らしいベルリン王宮の展望スペース
フンボルトフォーラムには展望スペースがあります。そこからは雄大なベルリン大聖堂や旧博物館を眺めることができます。そして背の高いテレビ塔も、まるで目の前にあるかのように近くに見えるでしょう。
遠くにはブランデンブルク門などが見えるなどベルリン中心部の素晴らしい風景を楽しむことができるのです。そのため展望スペースだけのためにフンボルトフォーラムを訪れるのも悪くないでしょう。
博物館島と合わせて訪れられるベルリン王宮
このようなフンボルトフォーラムですが、アジア美術館や民族美術館以外にも、ベルリン市の博物館やフンボルト大学もスペースを構えているため、様々な展示やイベントを楽しむことができるでしょう。ベルリンの中心部にあることから簡単に訪れることができ、何よりも幅の広い文化的な展示を楽しむことができます。
もし博物館島を訪れるのであれば、ぜひそのエリアにあるフンボルトフォーラムも訪れてみてください。きっと素晴らしい展示を楽しむことができるはずです。
ベルリン王宮 (フンボルトフォーラム) / Berliner schloss (Humboldt Forum)
アドレス: Schloßplatz, 10178 Berlin
入館料: 無料 (展示によっては有料チケットが必要。)
展望スペース: 5ユーロ
開館時間:10:30〜18:30
休館日:火曜日
Web-Site: https://www.humboldtforum.org/de
(2024年5月確認)